2015 Fiscal Year Research-status Report
腎癌における分子標的治療薬の効果増幅・副作用軽減を指向した降圧薬併用療法の最適化
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15K08100
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
門脇 大介 熊本大学, 薬学部, 准教授 (70433000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 純生 熊本大学, 薬学部, 教授 (10432999)
成田 勇樹 熊本大学, 薬学部, 助手 (40614665)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ARB / 腎細胞がん / 抗腫瘍効果 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
分子標的治療薬である血管内皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(VEGFR-TKI)は主に腎癌治療に汎用されているが,高血圧や蛋白尿の高頻度な出現が使用制限因子として問題視されている。降圧薬のうち,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は降圧効果だけでなく,副次的作用として血管新生阻害,抗酸化および腎保護能を有しており,理論上,VEGFR-TKIの抗腫瘍効果増強,副作用克服が期待される。このことを実証すべく,本年度は,in vitro におけるVEGFR-TKIと併用効果の高いARBもしくは他の降圧薬のスクリーニングを行った。ヒト腎癌細胞株(ACHN,Caki-2)を用い,VEGFR-TKIであるスニチニブと各種降圧薬(ACE阻害薬,ARB,Caチャネル拮抗薬)を共添加し,腎がん細胞の生存率に及ぼす影響を評価した。その結果,ARBのみがスニチニブの抗腫瘍効果を増強し,他の降圧薬は抗腫瘍効果に影響を及ぼさなかった。そこで,このARBの抗腫瘍効果について,酸化ストレスおよびVEGFの産生について評価したところ,酸化ストレスはほとんど変動がなく,VEGF濃度にも影響を与えなかった。このことから,予想していた機序とは異なるメカニズムが存在することが示唆された。次年度は,ほかの評価系での酸化ストレスおよびVEGFの発現量を再確認するとともに,in Vivoでの試験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験計画は,予定通り進行し,確実に結果が得られている。一方で,予想していた仮説とは異なる結果が得られており,新しい知見を見出すいいきっかけとなっており,当初の計画よりさらに興味深い内容となってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
予想していた機序とは異なるメカニズムが存在することが示唆された。今後は,ほかの評価系での酸化ストレスおよびVEGFの発現量を再確認するとともに,in Vivoでの試験を予定通り行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定より,効率的に実験が行えたため,少額ではあるが残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は動物実験など,より多くの経費を必要とするため,その物品費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)