2015 Fiscal Year Research-status Report
肝臓がんに対するシスプラチン/カフェイン併用化学療法の有用性に関する研究
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15K08102
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
有森 和彦 宮崎大学, 医学部, 教授 (70253739)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肝臓がん / 化学療法 / カフェイン / シスプラチン |
Outline of Annual Research Achievements |
①カフェイン単剤 カフェインはPI3 kinaseの阻害によりAktのリン酸化を抑制することで、その下流にあるGSK3β、p70S6Kのリン酸化抑制に伴うCyclinD1のタンパク量の低下、Rbのリン酸化の減少を経て、G0/G1期で細胞周期を停止させることで肝細胞がんの細胞増殖を抑制する。 ②シスプラチン、カフェイン併用 シスプラチンによりDNAに損傷が与えられるとATM kinase、PI3 kinaseが機能し、ATM kinaseはchk2をリン酸化することにより活性化し、更に、p53をリン酸化することで、細胞周期をシスプラチンによるDNA損傷が引き起こされるG2/M期で停止させDNAの修復を行うと考えられる。しかしながら、カフェインを作用させると、このDNA修復を行う時間を与えずに細胞周期が進行することでDNA修復作用を阻害しているためDNAの損傷を受けたままの細胞はアポトーシスへと向かう。 この作用と同時期にPI3 kinaseによるAkt、p70S6KのPDK1を介した活性化が起こり、Bcl-2、Survivinといったアポトーシスに対して抑制的に働く分子により細胞死を抑制するが、カフェインを作用させることによりAkt、p70S6Kの活性が低下することでアポトーシスの抑制機構が機能しにくい状態、つまり、アポトーシスを起こし易い状態になる。 以上のように、カフェインによるDNA修復阻害作用とアポトーシス促進作用の2つのメカニズムが肝細胞がんにおけるシスプラチンによる細胞死誘導増強作用のメカニズムであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関の動物実験施設の使用状況により予定していたキセノグラフトモデルを用いたin vivo研究の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
キセノグラフトモデルを用いた抗腫瘍効果の評価実験に遅れが生じたため、H28年度に遅れている実験を終了させる。 その他は、当初の実施計画通りに研究を遂行する予定。
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Causes of Carryover |
金額が少額なので次年度に加えて研究費として使用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に加えることで試薬購入費あるいは学会発表時経費として計上する。
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