2016 Fiscal Year Research-status Report
経口投与可能なM細胞経由型ビタミンB12内封リポソーム製剤の検討
Project/Area Number |
15K08104
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐塚 泰之 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (90162403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 育美 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (80509050)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リポソーム / 経口投与 / M細胞 / 悪性貧血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は胃摘出後にビタミンB12の欠乏により発症する悪性貧血の治療を目的に、経口投与型ビタミンB12製剤を開発することを目的としている。ビタミンB12を胃内因子なしに消化管吸収させるため、薬物キャリアであるリポソーム製剤を使用することを戦略としている。リポソームはウイルスと類似構造をしていることより、経口投与後には小腸に存在するパイエル板M細胞より取り込まれることを期待している。本年度はリポソーム製剤の投与により、内封薬物が生体内へ取り込まれるか否かをカルボキシフルオレセイン(CF)をモデル薬物に選択し検討した。 CF内封リポソームは凍結融解法にて調製することができ、ビタミンB12内封リポソームと同等の物性を示すことを確認し試験に用いた。最初に、小腸のM細胞と同様の取り込み能力を有し、外来抗原取り込みに重要な役割を果たす鼻腔粘膜単層上皮細胞層におけるM細胞に対するリポソームの透過性を評価した。マウスにCF内封リポソームを鼻腔内投与し、10分後の血中CF濃度および鼻腔内CF濃度を測定した結果、血中にてCFが検出され、そのレベルはCF水溶液投与群よりも約2倍高かった。さらに、投与10分後では、血中よりも鼻腔内でのCF濃度が高く、リポソーム製剤にすることにより鼻腔粘膜での滞留性が増大したことが示唆された。また、本リポソームを経口投与した場合、CF内封リポソーム投与群において血中でのCFが検出された。すなわち、リポソーム化した薬物は経口投与することで生体内への吸収が可能であることが明らかとなった。今後、本吸収がM細胞を介したものであるかを明らかにするとともに、治療効果についても検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リポソームに内封するビタミンB12は生体内に存在する物質であることより、経口投与後に血中濃度を測定することによる吸収の確認が困難であり、未だモデル薬物としてカルボキシフルオレセインを使用していることが遅延の大きな理由となっている。カルボキシフルオレセインを使用している場合、ビタミンB12水溶液を投与した場合と大きく異なる点に水溶液でも吸収されてしまうことがある。そのため、ビタミンB12をリポソーム化することの優位性を明らかにすることができない。この点を早急に解決し検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
経口投与により吸収されないことが明らかとなっているゲンタマイシンをモデル薬物としてリポソームに内封し、リポソーム化による吸収を評価する。また、胃切除術をしたマウスや、プロトンポンプ阻害剤を投与し胃内因子の分泌を抑制したマウスを用いたin vivo検討を実施する。
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Causes of Carryover |
マウスを使用するin vivo検討を実施する予定であったが、血中ビタミンB12の測定方法の確立に時間をとり、予試験に時間を要してしまったことが原因と考えられる。また、リポソームのサイズコントロールに必要なエクストルーダーの部品が破損し、リポソームの調製効率が落ちてしまい、予定よりも研究を進めることができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リポソームの調製効率をあげるためにエクストルーダーの部品を早急に購入する。必要な試薬類は7月までに購入し、in vivo検討に必要な試薬やマウス、解剖時の消耗品は10月までに購入する予定である。
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Research Products
(1 results)