2016 Fiscal Year Research-status Report
工学的発想と臨床心理学的発想に基づく一般用医薬品添付文書の開発
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15K08106
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
望月 眞弓 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (60292679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 順也 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (20720444)
三林 洋介 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 教授 (10409899)
山下 純 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (40726543)
日比野 治雄 千葉大学, 大学院工学研究科, 教授 (20222242)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 一般用医薬品 / 添付文書 / 理解度 / ピクトグラム / デザイン心理学 / 視線解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般用医薬品の添付文書における情報探索時の視線運動を評価することを目的に、日本の添付文書と英国のPatient Information Leaflet(PIL)の構成の違いによる理解度や解答探索過程への影響について、インタビュー形式の理解度調査とアイ・トラッカーによる視線解析を用いて検討を行った結果、添付文書の構成の違いや文章表現が解答探索過程に影響を与えることが示唆された。また、理解度調査と視線解析を併用することで、生活者の解答探索過程をより詳細に検討することが可能であった。添付文書の改訂前後における解答探索過程を比較するなど、構成以外に解答探索過程に影響を与える要因を検討するための評価指標として、視線解析が有用であることが示唆された。 一般用医薬品添付文書上の注意事項を表すピクトグラムの開発については、イラストを作成し、その中に含まれる情報ごとの理解度を検討した。情報ごとに分割して、理解度を算出することで、イラストにおいて改善の必要がある箇所を明確化し、新規にイラストを開発する際に注意を払うべき重要な因子が何であるかが示された。さらに、今回開発したイラストはその信頼性と妥当性を検証することで、ピクトグラムとしての機能を確認することができた。 次いで、開発したピクトグラムを添付文書に取り入れ、ピクトグラムの有無やデザインの違いによって、生活者の医薬品情報に対する注目度の変化を、既存の添付文書のレイアウトデザインを少しずつ変化させながら、ピクトグラムを組み入れた3パターンの添付文書を作成し比較調査を行った。その結果、ピクトグラムは高い誘目性があることが示され、また文字のみの情報より記憶に残りやすいことが示唆された。一方で、生活者はピクトグラムに加え、文章も読むことで内容を確認していることから、医薬品情報に対する安心感や信頼性を示す上で文字情報の付与も必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者1名の勤務先が毎年変更になりそのための遅れが発生し、その影響が全体の遅れにつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)理解度の定量化と理解度の低い原因の特定への視線解析の利用について継続して検討する。 2)添付文書の用語や表現の課題を網羅的に抽出し改善策を提案する。 3)添付文書の改善とピクトグラムの使用による理解度の向上とワーキングメモリーの活性化との関係を脳血流変化として評価できるかを探索する。
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Causes of Carryover |
研究分担者の1名が所属先の変更によって1年間研究を実施することが困難になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は当該研究分担者が研究を実施可能が環境に移ったことから研究が進展することが期待できる。
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Research Products
(3 results)