2015 Fiscal Year Research-status Report
HGF受容体アゴニスト・アンタゴニストとIL-2を用いた免疫反応の制御
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15K08119
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
岩崎 剛 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (10151721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 統 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00196304)
芝崎 誠司 兵庫医療大学, 共通教育センター, 准教授 (50342530)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / IL-2 / 免疫複合体 / 関節リウマチ / コラーゲン誘導関節炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
制御性T細胞(Treg)には胸腺内において自己反応性T細胞と共に産生されるnTregと、末梢血中のナイーブT細胞から分化誘導されるiTregが存在し、いずれも免疫寛容に関与している。iTregはT細胞受容体(TCR)の刺激が無くても、IL-2が存在すれば増殖可能である。IL-2-抗IL-2抗体免疫複合体(IL-2IC)は、in vitro、in vivoにおいて、エフェクターT細胞を減少させ、iTregを増幅できることが報告されている。今回、IL-2ICによりiTregを誘導し、RAモデルであるコラーゲン誘導関節炎(CIA)に対する関節炎抑制効果を検証した。 DBA/1マウスに200μg of 2型コラーゲンを2回免疫して、関節炎を誘導した。 IL-2 免疫複合体(IL-2IC)あるいはシクロスポリンを関節炎誘導後投与し、その関節炎抑制効果を検証した。その結果、 1.シクロスポリン投与後では変化を認めなかったが、IL-2IC投与後、末梢血および脾臓におけるiTregが投与前の2倍以上に増加することが明らかになった。 2.シクロスポリン投与と同程度に、IL-2IC投与によっても関節炎が有意に抑制された。 3.IL-2IC投与が1次免疫後、2次免疫後のいずれであっても、同程度に関節炎が抑制できることが明らかになった。 4.関節の病理組織学的検査で、滑膜組織の滑膜細胞の増殖、炎症細胞の浸潤、関節骨組織の破壊が抑制されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画に従い、IL-2ICの有効性を、PBS投与群、IL-2IC投与群、シクロスポリン投与群で検証した。実験モデルはCIAモデルを用いた。 その結果、1.IL-2IC投与によりiTregが誘導できること、2.関節炎を抑制できることが明らかになった。 これらの実験結果は当初予定していた実験計画を概ね遂行できたものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請時の実験計画では、IL-2ICとHGFあるいはHGFアンタゴニスト(NK4)との併用による、より効果的な治療法を開発する予定であったが、臨床応用の実際においては、これらの併用療法は費用・副作用の観点から実現困難と判断した。 その結果、実験計画を一部変更し、次年度以降はiTreg誘導に関与するmicroRNA(miRNA)の探索とmiRNAを用いたiTreg誘導方法の開発を目指す。 具体的には、CIAマウス血清中のmiRNAをパネルPCRで網羅的に解析し、IL-2ICで変化するmiRNAを検索し、iTreg誘導とmiRNAの関係を解析する。 さらに、iTreg誘導に最も関係すると思われるmiRNAを用いたCIAモデルの治療法開発について検討する。
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Causes of Carryover |
本年度必要消耗品については、他の研究費で購入したものを利用できたため、経費を抑えることができた。そのため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞実験関連の消耗品購入に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)