2017 Fiscal Year Research-status Report
大規模レセプト情報を用いた多剤併用のリスク評価:ふらつきを及ぼす薬による骨折発症
Project/Area Number |
15K08121
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
飯原 なおみ 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (40412390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 知司 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (80220656)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多剤併用 / ポリファーマシー / 高齢者 / 転倒 / 骨折 / 副作用 / レセプトデータ / 薬剤疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者における医薬品多剤併用(ポリファーマシー)の副作用発現に及ぼす影響を評価するために、ふらつきを及ぼす薬の併用と骨折発症との関連性を大規模レセプト情報を用いて解析するものである。 27、28年度に取り組んだ、ナショナルレセプトデータベース・サンプリングデータセットを用いた横断研究(時間軸をもたない研究)の結果を踏まえて、29年度はナショナルレセプトデータベース・特別抽出データを用いた縦断研究(時間軸をもつ研究)に取り組んだ。 特別抽出データは、研究対象者(65歳以上で転倒に関係した骨折を発症して外来受診もしくは入院した患者)となり得る者を漏れなく含むデータであり、約250万人のデータの提供を受けた。このデータから、少なくとも1年間は入院していない高齢者(65歳以上)で、追跡期間中(2013年5月~2014年9月)に、何らかの骨折を発症して外来受診もしくは入院した者は、約120万人と特定された。このうち、骨折既往者(骨折発症日前の骨折病名を有する者)は約21万人(約18%)であった。 現在、骨折発症者のうち、転倒による可能性が極めて高いと判断される骨折病名を持つ者の特定を進めている。今後、特定後の患者における、骨折発症日直前と、それ以前における、ふらつきを及ぼす薬の併用数と用量を比較し(ケースクロスオーバーデザイン)、ふらつきを及ぼす薬の併用による健康被害を評価する。 29年度の研究により、日本の高齢者の骨折発症の状況が明らかになった。また、29年度は、補助事業期間前半に取り組んだ横断研究の結果を、薬剤師に限らず、地域の保健師、行政、保険者などに広く知らせて、医薬品多剤併用の注意喚起を促し、地域における多職種連携による、医薬品適正使用のアプローチづくりを促進させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
28年度の実績状況報告書で報告したが、特別抽出データを再抽出することになり、その間、解析を進められなかったことや、データ量が多く、使用アプリケーションを変更したことが遅延理由である。 当初の予定より遅れていることから、補助事業期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで協力して進めてきた研究分担者や研究協力者のほかに、今後は研究補助者の協力を得て解析を進める。今後の研究手順は既に整理されていることから、スケジュールの見直しを頻回に行い、スケジュール管理を徹底させて、30年度に研究を完成させる。
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Causes of Carryover |
当初の予定より進捗状況は遅れており、解析にかかる費用(アプリケーションや物品購入、適切な解析法選択のための情報収集など)や成果発表費用を必要とする。
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