2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K08123
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
本屋 敏郎 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (60166345)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 一般用医薬品 / 頭痛 / 鎮痛薬 / 有用性比較 / 効果 / 満足度 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は当初計画のとおり頭痛用鎮痛薬に関する効果および使用後満足度等の比較検討を行った。鎮痛効果は0から100mmまでのVASスケールを用い、薬剤服用者に服用前から服用後0.5, 1, 2, 3, 4, 6, 8時間後の痛みの程度を記録紙に記入してもらうことによって、また満足度は、服用者の5段階評価によって評価した。平成27年10月から平成28年1月の研究期間に合計41例のデータが集積された。そのうち服薬前の痛みスコア30以上の39例について中間解析を行った。服用薬剤はロキソプロフェン製剤27例、イブプロフェン製剤3例、アスピリン製剤5例、アセトアミノフェン+エテンザミド製剤3例、イソプロピルアンチピリン+アセトアミノフェン製剤1例であった。そこで先ず、ロキソプロフェン群と(アスピリン、アセトアミノフェン+エテンザミド)群について鎮痛効果の比較を行った。服薬前の痛みスコアはそれぞれ65±17(SE)、58±21で有意差はなかった。服薬後両群とも著名な痛みスコアの低下がみられ、服薬6時間後まで持続した。薬剤群間で鎮痛効果に差がみられるかどうか、二元配置(2要因)分散分析(1要因対応なし、1要因対応あり)を行ったところ、薬剤群間には有意差が見られなかった。薬剤服用者の服用後満足度についてもロキソプロフェン群:大変満足6、満足19、どちらとも言えない2、アスピリン等群:各々3,4,1であり、カイ二乗検定の結果両薬剤群間に有意な差はみられなかった。 以上のとおり、これまでのところ、日常活動が行える中等度程度までの頭痛に対しては、その効果および服用後満足度の両面において、薬剤群間の著名な差は見られていない。本成績は頭痛に対する一般用医薬品購入希望者への有益な情報となる可能性があり、今後さらに症例を重ね、解析を深めてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度、倫理委員会への申請、各研究協力者(一般用医薬品取扱いのある保険薬局薬剤師)との打ち合わせなど研究開始までの準備に時間を要し、実際の研究開始が平成27年10月からとなり、当初予定よりも遅れた。また保険薬局における臨床研究ということで、一般用医薬品購入者の本研究への理解・協力を得るのに時間を要し、症例の収集速度がやや遅滞している。しかし研究の方向性は当初の目的のとおりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では初年度に頭痛用一般用医薬品について、2年目と3年目にアレルギー性鼻炎用薬に関する研究を行う予定であったが、頭痛に関する症例収集が若干遅延しているため、頭痛に関する症例収集を本年9月まで延期し、その後アレルギー性鼻炎用薬に関する症例収集を開始することとする。アレルギー性鼻炎用薬に関する研究開始までには、倫理委員会の承認取得、効果評価方法の確認、研究協力者との打ち合わせを行う。又本年10月以降は頭痛用薬に関する解析を進め、年度内の学会発表、次年度の論文発表を目指す。 連携研究者、研究協力者を交えた研究成果報告会を開催し、初年度研究結果の共有ならびにその解釈に関する意見交換等を行う。 一般用医薬品の効果的な用い方に対する生活者の理解を深めるため、研究協力者所属薬局の立地する熊本県人吉市、鹿児島市、宮崎県延岡市において講演会を開催する。
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Causes of Carryover |
研究協力者所属薬局からの平成28年2月以降3月末日までの薬剤費請求がまだ行われていないため、その分が次年度使用額に含まれる。 症例収集開始が遅れたこと、症例収集速度が当初予定よりも遅れたことなどにより、薬剤費の消費が当初計画よりも少なかった。 研究協力者の日常業務への影響を考慮し、初年度2回開催予定の打ち合わせ会議を、研究代表者が研究協力者を訪問することによって行ったため、旅費の使用が削減された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は年度当初より症例収集に努め、症例の増加を図る。先ず頭痛用薬について150症例の新規収集を目指し、薬剤費10万円を見込む。又本年度10月より開始予定のアレルギー性鼻炎用薬については本年度100症例の収集を目指し、薬剤費15万円を見込む。研究結果の中間報告会が今年度は必要であり、関係者一同に会しての研究会議を開催する。また研究協力者所属薬局所在地での生活者対象の、一般用医薬品使用に関する講演会を開催する。さらに頭痛用薬に関する研究成果をまとめ、今年度末に学会発表を行う。これらに要する旅費として25万円を見込む。その他、調査遂行、データ整理などに関わる文具代等の費用に10万円、図書費、通信費、文献収集費等、情報収集費用として10万円を見込み、残額は3年目へ繰り越し、学会発表、論文投稿など新規支出の発生が予想されるため、それらへ充当する予定である。
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