2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K08123
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
本屋 敏郎 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (60166345)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 一般用医薬品 / 頭痛 / ロキソプロフェン / イブプロフェン / アスピリン / アセトアミノフェン / エテンザミド |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年10月1日から平成28年9月30日、熊本県人吉市、鹿児島市、宮崎県延岡市の3薬局で頭痛用一般用医薬品(OTC薬)を購入された生活者を対象に、服薬後の頭痛強度の変化、使用者満足度等の調査を行った。効果の評価は痛み強度を100 mmのVAS Scaleに記入する方法によって行い、満足度は、大変満足から大変不満までの5段階評価法を用いた。調査対象者は98名であり、薬剤服用前の痛み強度30未満と記載に不備の見られた症例を除外し86例を解析対象とした。調査対象OTC薬はロキソプロフェン(LOX)、イブプロフェン(IBU)、アスピリン(ASA)、アセトアミノフェン(AA)+エテンザミド(EZ)を鎮痛成分として含有するOTC薬であった。 対象者の服薬前の痛み強度は66±17であり、服薬後30分以降6時間後まで有意な強度の低下及び効果の持続がみられた。鎮痛成分でLOX群、IBU群、ASA及びAA+EZ群に分け、鎮痛効果および使用者の満足度を比較したところ、服薬前の痛み強度はそれぞれ67±18、64±16、65±19と差がなく、服用後の効果及び満足度には薬剤群間に有意な差はみられなかった。また製品間比較としてイブAとイブクイック頭痛薬、ロキソニンSとイブAの間にも、効果及び満足度ともに有意な差は見られなかった。購入後薬剤の服用回数と満足度の関係においては、服用回数が多くなるとともに有意な満足度の低下が見られた。 これらの成績から、薬局店頭で購入・使用される、軽度及び中等度頭痛に対するOTC薬に関しては、その効果や使用者満足度に薬剤間の大きな差は無いものと考えられた。 平成28年10月以降現在まで、アレルギー性鼻炎用OTC薬について同様の薬剤間の比較調査を実施中であり、平成29年2月末日までに28例の症例が収集された。現在もなお調査を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗は、保険薬局における一般用医薬品購入・使用者の好意的な研究への参加に依存するが、その理解・協力を得るのに時間を要し、当初の計画よりはその症例収集速度に遅延を生じている。しかし研究の方向性は、当初の計画のとおりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
頭痛用一般用医薬品(OTC薬)に関しては、現在までに収集されたデータを元にさらに多方面からの解析を進め、OTC薬のより適正な使用に資する新情報提供を目指す。また同時に、更なる症例の追加を目指し、薬剤間の比較成績の増加を目指す。 アレルギー性鼻炎用OTC薬に関しては、現在進行中の症例収集を本年10月まで継続して行い、その後解析、成果の報告を行う。 研究の方向性に関する変更はない。
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Causes of Carryover |
初年度、研究開始までの準備に時間を要し、初年度分の未使用額が390,189円となった。本年度は年度当初より年度末まで継続的に研究を行うことができ、研究費用は単年度交付額650,000円を上回る961,193円となった。それは初年度残額の全てを使用する額ではなかったが、一部を次年度使用額とすることは年度初めの計画通りであった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度研究の主な調査対象薬剤となるアレルギー性鼻炎用薬剤は、本年度までの主な調査対象薬剤であった頭痛用薬剤よりも高額であり、その購入財源とする。また次年度は本研究のまとめの年度であり、結果解析の検討会議や結果報告の機会などが増える予定であり、それらの費用として使用する予定である。
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