2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K08142
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
古山 逹雄 香川県立保健医療大学, 教養部, 教授 (20238702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 忍 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90151571)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リンパ管 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管形成に関与する遺伝子の多くがリンパ管形成過程のいろいろな段階で関与することが知られている。FoxO1は、血管内皮細胞で欠損させると血管形成に異常が生じることが分かっている。このことからFoxO1もリンパ管形成過程に関与する可能性が高い。そこでTie2-CreERによりFoxO1を内皮細胞から欠損させたマウスを作成し、生後3,5,7日の尻尾の皮膚において、生後に起こる真皮のリンパ管形成過程を免疫組織化学法にて検討した。最初に、リンパ管内皮細胞にFoxO1タンパクが発現しており、タモキシフェン投与により消失することをFoxO1抗体を用いた免疫組織化学法にて確認した。 LYVE-1抗体を用いた免疫組織化学法により、FoxO1を欠損させると明らかなリンパ管の形態異常がみられリンパ管が拡張傾向にあることが分かった。さらに詳しく調べるためにリンパ管網の分岐点数、増殖能、リンパ管内皮細胞数、アポトーシスを検討した。 分岐点数についてはFoxO1欠損で有意に減少していた。このことからFoxO1はsproutingに関与していることが示唆された。またリンパ管面積当たりのBrdU陽性細胞数はFoxO1欠損で変化がみられず、リンパ管内皮細胞の数に相当するProx1陽性細胞数はFoxO1欠損で有意に減少していた。さらに抗cleaved caspase3抗体を用いてアポトーシスを検討したところFoxO1欠損によりリンパ管面積当たりのcaspase3陽性細胞数が有意に減少していた。これらのことからFoxO1欠損によりアポトーシスの抑制がおこることでリンパ管内皮細胞の総数が増え、さらに細胞の肥大がおこることでリンパ管の拡張が起こっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生後のマウスの尻尾の皮膚リンパ管形成過程の解析についてはほぼ計画通り進んでいる。FoxO1欠損下リンパ管内皮細胞での遺伝子変動をみるために、生後のマウスの尻尾の皮膚リンパ管内皮細胞でのin situ hybridization法を用いたmRNAの検出を試みているが、皮膚組織と実験手技などの問題があり条件を検討中である。生後の皮膚でうまくいかない場合は胎生期の皮膚でのリンパ管形成過程を中心に検討することを考えている。胎生期の皮膚のリンパ管内皮細胞ではin situ hybridization法によるmRNA検出が可能であることを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
胎生期のリンパ管形成過程を生後皮膚真皮のリンパ管形成の解析と同様に検討する。またリンパ管内皮細胞にsiRNAを用いたFoxO1のノックダウンを行い、FoxO1の発現の低下したリンパ管内皮細胞において変化している遺伝子の同定を行う。この情報を基に、これまでに得られたFoxO1欠損によりみられたリンパ管形成の異常の原因となる遺伝子の検討を行う。in situ hybridization法によりFoxO1欠損したリンパ管内皮細胞においてmRNA発現量に変動を示す遺伝子を同定する。もしそのような遺伝子が同定されたら、in vitroに戻してFoxO1による転写調整を受ける機構を解析する。
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Causes of Carryover |
実験条件の検討に時間がかかっているため、リンパ管内皮細胞の遺伝子発現解析にすすめていない。次年度に行う予定の遺伝子発現解析が高額であるため、次年度に持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リンパ管内皮細胞および培養試薬の購入、マイクロアレイ解析の外部委託、定量PCR解析用試薬などの購入に使用予定にしている
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