2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K08144
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Research Institution | Tsukuba International University |
Principal Investigator |
澤田 和彦 つくば国際大学, 保健医療学部, 教授 (10284324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 美和 (堀内美和) 茨城キリスト教大学, 看護学部, 講師 (90381714)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 脳溝 / 脳回 / バルプロ酸 / MRI / 神経幹細胞 / フェレット / 免疫組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳溝・脳回を有する小型実験動物であるフェレットを用いて、発生過程の大脳皮質において一時的に出現する脳室下帯(SVZ)神経幹細胞の脳回形成への寄与を明らかにすること目的としている。平成27年度は、バルプロ酸(VPA)投与直後のフェレット仔の脳のサンプリングと、幼若動物の脳のT1強調MRI画像の計測条件の検討を行った。 4例の妊娠動物から計6例の雄仔動物を得た。このうち4例に脳回形成が最も盛んになる直前(5~7日齢)にバルプロ酸(VPA; 30μg/g体重)を腹腔内投与した。VPA投与直前に新生する細胞を標識するため、投与の2時間前にEdUを腹腔内投与した。さらにVPA投与後に新生する細胞を標識するためVPAの最終投与時にBrdUを腹腔内投与した。対照として2例にEdUとBrdUのみ投与)を投与した。BrdU投与の2時間後に仔動物を灌流固定し、脳を取り出した。 取り出した幼若動物の脳のT1強調画像の計測条件を7-tesla MRI装置を用いて検討した。成獣の脳に比べ、水を多く含み、ミエリン化も進んでいないため、T1強調シグナルの強いコントラストは得られなかったが、大脳皮質(灰白質)と皮質下白質を区別できる計測条件の決定に成功した。また、90日齢のフェレットにおいて皮質各層の厚さとI層のミエリン線維密度が脳回領域と脳溝領域で異なることを明らかにし、脳溝・脳回形成の組織レベルでの評価を可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回実験に用意した4例の母獣のうち2例が出産後、仔を食殺してしまい、実験に用いる仔動物が6例しか得られなかった。大脳皮質の神経幹細胞の増殖および分化へのVPA投与直後(生後5,6,7日に30μg/g体重を投与し、最終投与の2時間後に脳をサンプリング)の効果を調べるために、実験群、対照群ともに4例(計8例)以上を予定していたため、実験に必要な動物数を確保することができなかった。また、幼若動物の脳は水を多く含み、ミエリン化も進んでいないため、MRI画像においてT1強調シグナルの強いコントラストが得られなかったため、その計測条件の決定に予定以上の時間を要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、実験に用いる仔動物を得るための母獣を6例(前年度は4例)に増やし、実験に用いる動物数の確保に努める。 脳溝形成が最も盛んになる直前(5~7日齢)の雄フェレットにVPA(30μg/g体重)を投与する。対照群には溶媒(生理食塩水)を投与する。VPA投与の直前に新生する細胞をEdUにより、投与終了後に新生する細胞をBrdUで標識する。実験群、対照群各4例以上について脳溝が完成する21日齢に灌流固定し、脳のサンプリングを行う。また、前年度に必要数得られなかった幼若例(実験群1例以上、対照群2例以上)についても追加してサンプリングを行う。 得られた脳についてT1強調MRI画像を7-tesla MRI装置を用いて取得し、MRI画像解析ソフトを用いて、①大脳皮質の容積、②大脳皮質厚、③脳回形成頻度(sulcation index)、④脳溝形状の解析を行い、VPA投与による神経幹細胞の分化誘導が及ぼす各パラメータへの影響をVPA投与直後(7日齢)と脳回形成完了時(21日齢)とで検討する。 また、MRI画像取得後、脳の組織切片を作製し、抗EdU抗体、抗BrdU抗体および各種神経幹細胞に対する抗体を用いて免疫染色を行い、これらの抗体で標識された細胞の数を定量評価する。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、用意していた4例の妊娠動物のうち2例が出産後、仔動物を食殺してしまい、実験に必要な数の仔動物が得られなかった。28年度では、この不足分を補い、且つ研究計画全体で必要数の仔動物を確保するため、妊娠動物を当初予定していた4例から6例に増やす必要があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に用いる仔動物を得るための妊娠動物6例が必要である。妊娠動物および仔動物の薬剤処理や飼育は、動物供給業者(静岡県・中伊豆)の研究室(レンタルラボ)および飼育施設で行うため、そのための費用および動物実験のための出張旅費が必要となる。また、脳の組織切片を作製し、免疫染色を行う上での試薬や消耗品等が必要となる。
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