2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K08153
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 敬 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40579265)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 精子幹細胞 / 下垂体ホルモン / LH / FSH |
Outline of Annual Research Achievements |
下垂体ホルモンFSH, LHが精子幹細胞ニッシェに必須であるか明らかにするため移植実験により下垂体ホルモン欠損マウスの精子幹細胞の数を調べた。また下垂体ホルモン欠損マウスの精子幹細胞ニッシェについてもFSH, LHの影響を調べた。 精子幹細胞は生後の精巣の発達と共に増加してくることから、5-10日齢の未成熟期と2ヶ月齢の成熟期の二つの異なったステージの欠損マウスをドナーとして用いて、精子幹細胞移植アッセイを行った。FSHホルモンFshb遺伝子, LH受容体Lhr遺伝子について調べると、どちらの遺伝子欠損マウスでも野生型と同レベルの精子幹細胞数を保持していることが分かった。FSHは精子幹細胞の自己複製を促進すると考えられていたのでこれは大変意外な結果であった。 FSH, LHが精子幹細胞ニッシェの数を制御しているかどうか調べるため、Fshb, Lhr欠損マウスが保持する精子幹細胞ニッシェの数を移植実験で調べた。どちらの遺伝子欠損マウスでもニッシェの数は変わらなかった。しかし精子幹細胞ニッシェにおける増殖能を継代移植により調べると、Fshb欠損では影響はなかったがLhr欠損により精子幹細胞増殖が亢進することが示された。 以上の実験により、Lhr欠損により精子幹細胞増殖を促す遺伝子がはたらいていると考えられる。そこで予定していたin vitroの解析を変更し、このLhr欠損マウス精巣を利用して下垂体ホルモンの標的遺伝子を調べた。マイクロアレイ解析用にサンプルを調整してトランスクリプトーム解析を行い、候補遺伝子を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では①下垂体ホルモンによる精子幹細胞制御機能の理解のため下垂体ホルモンFSH, LH欠損マウスの精子幹細胞移植実験の実施を計画していたが、予定より進展したため平成28年度に計画していた解析も終えることができた。また②下垂体ホルモンの標的遺伝子の解明についても、本年度で予定していたサンプル調整に加え、平成28年度に予定していたトランスクリプトーム解析も実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究でLhr欠損が精子幹細胞増殖を促すことが明らかになったため、この現象のメカニズムについて更に研究を進め、精子幹細胞活性を亢進させる因子の同定を目指す。
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