2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞死抑制の鍵分子としてHAP1に注目した老化と脳領域特異的神経変性の関連解明
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15K08154
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤永 竜太郎 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30335723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 晃 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40192108)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アポトーシス / プロテアソーム / ミトコンドリア / ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
HAP1の過剰発現が、プロテアソーム阻害剤が誘導するアポトーシスにどのような影響を与えるかウエスタンブロットにより検討した。その結果、GFPを過剰発現させたコントロール視床下部不死化細胞株に比べ、GFP-HAP1を過剰発現させた視床下部不死化細胞株ではプロテアソーム阻害剤誘導性の断片化PARPの量や活性化型カスパーゼ3の量が減少していた。つまり、HAP1はプロテアソーム阻害剤誘導性アポトーシスに対して抑制的に機能していることが分かった。しかしながら、熱ショック、小胞体ストレス、酸化ストレスが誘導するアポトーシスに対しての抑制能は見出されなかった。HAP1の発現形態はプロテアソーム阻害剤処理により、通常のSTBから顆粒網状形態に変化するが、各種オルガネラとの二重染色やタイムラプス解析により、顆粒網状形態はミトコンドリアに近接しておりミトコンドリアを介したアポトーシスを抑制している可能性が強く示唆された。現在、HAP1顆粒網状発現形態がどのようなメカニズムでアポトーシスを抑制しているか更に詳細に検討している。 入手したHap1ヘテロマウスを繁殖し、十分な数が確保できたため本格的な解析を開始した。その結果、Hap1-null マウスはほぼ出生24時間以内に死亡することが判明した。出生当日のHap1ノックアウトマウス脳のニッスル染色の観察では、野生型マウスと比べて顕著な変化は見出されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
期待される仮説通りにHAP1がアポトーシスに対して抑制的に機能していることが明らかになり、この抑制能も細胞ストレスに対する特異性があることが分かった。また、メカニズムの手がかりとなるミトコンドリアとの関係も見えつつあり、細胞レベルの実験は順調に進展している。また、ノックアウトマウスの解析もスタートし順調である。ただし、出生直後に死亡することから、解析に工夫が必要である。全体としては、in vitro, in vivo共に順調に解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞レベルの研究では、HAP1とミトコンドリアとの関係を更に深く追求する。アポトーシス誘導時のミトコンドリアからのチトクロムC放出や、HAP1とミトコンドリア局在分子の相互作用についても解析を試みる。また、HAP1がプロテアソーム阻害剤処理時にミトコンドリアに近接配置する様子をタイムラプスにより詳細に検討する。ノックアウトマウスの解析では、出生後早期に死亡するため、Hap1へテロマウス同士を交配して出生直後の仔(生存しているノックアウトマウスが存在する)を全て解析し、Hap1ノックアウトによりアポトーシス細胞が増加しているかどうかに注目して解析を行う。脳だけが原因ではない可能性も考え、末梢組織でのHap1の発現も解析する。期待通りのデータが得られないときは、新生児ノックアウトマウスにプロテアソーム阻害剤を投与しアポトーシス誘導などを検討し、HAP1の機能を探る。
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Causes of Carryover |
ノックアウトマウスの繁殖は順調であったが、出生早期に死亡するために動物維持にかかる費用に余りが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ノックアウトマウス維持のためのジェノタイピング試薬の購入にあてる。
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Research Products
(2 results)