2016 Fiscal Year Research-status Report
FIB/SEMによるミトコンドリアダイナミクスに関わる3次元的超微構造変化の解明
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15K08165
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
太田 啓介 久留米大学, 医学部, 准教授 (00258401)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / APEX2 / Fission / Fusion / FIB |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ミトコンドリア分裂時の微細な構造変化、特にその挙動が注目されているクリステ・核様体・MAMの動的な形態変化を三次元的に捕らえると共に、この過程に関わると考えられている分裂融合関連タンパクの動的局在を明らかにし、ミトコンドリアダイナミクスを新しい次元で解明することを目的としている。そのためには、新しい次元での電子顕微鏡観察技術が必要であり、本課題では、それを可能にする新規CLEM-FIB/SEM技術の確立を目指した。これまでの研究の結果、この技術は培養細胞レベルで確立することができた。その結果、ミトコンドリア核様体の局在やミトコンドリア分裂予定部位として、Drp1をGFPラベルした細胞を作成し、これを蛍光顕微鏡下で観察しつつ、その動的変化を電子顕微鏡レベルで時空間的に解析することが技術的には可能になった。現在これに伴う観察技術および発見を論文に執筆中である。 本課題では、さらにミトコンドリア分裂過程における分裂関連タンパクの三次元的局在を明らかにするため電子顕微鏡用マーカー遺伝子を用いた可視化技術を確立し、分裂関連タンパクのマッピングを電子顕微鏡レベルで時空間的に解析することを計画していた。これまでにAPEX2遺伝子を含むコンストラクトを複数作成し、Drp1, Mff, Mfn1, Mfn2を強制発現させたMEFおよびHeLa細胞においてその局在を電子顕微鏡下に観察することができることを確認している。 平成29年度はこれらの技術を用いて分裂融合関連タンパクの動的局在を電子顕微鏡下に明らかにすることで本研究の目的を達成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的に向けて順調に進んでいると考えているが、様々な遺伝子コンストラクトの電子顕微鏡レベルの局在は、強制発現系を用いている以上、本来の内在性タンパクの局在と異なる可能性が残る。実際一部の強発現細胞では、ミトコンドリアのアグリゲーションなどが観察された。本課題の当初計画では、この点を回避する目的で、光学顕微鏡レベルで正常に近い分布を示す細胞を同定し、直接同一細胞を観察するCLEMを用いることで解決する方針であった。もちろん、問題ない部分も多いが、この方法でもこの問題点は十分回避できているとは言えず、改善する必要があると感じている。たとえば、この数年でゲノム編集の発達し、内在遺伝子を容易に改変できる時代であるため、論文作成時にこの点を指摘される可能性が高くなっていると予想される。そのため、H28年以降に予定していたミトコンドリア分裂過程における分裂関連タンパクの三次元的局在解析については、すでに試料作成まで進んでいるが、再度、細胞作成から見直し、より精度の高いデータを得るべくH29年度に努力したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、ミトコンドリア分裂過程における分裂関連タンパクの三次元的局在解析については、正常に近い分布をもつ細胞を選択してCLEM観察するという方向性を抑えつつも、一方でゲノム編集による内在遺伝子下流にAPEX2を持つ細胞を作出し、その目的を達成する方向で進めていくこととしたい。内在性のプロモータ発現により産生されたタンパクの局在であれば、正常細胞に近い分布を示す可能性は高く、この方針により当初計画よりもより精度の高い結果が得られると予想される。
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Causes of Carryover |
試料作成が終わり、FIB/SEM 観察を残すばかりであったが、予備観察時点で、目的構造の分布に対してより精度の高い観察が必要であると考え、試料作成をやり直し(実験方針の見直し)を行うこととした。そのため、FIBの使用頻度が下がり、LMISなどのFIB/SEM 関連の消耗品を購入しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は本来FIB/SEM 観察を大量に行う事を想定していなかったが、上述の理由からFIB/SEM 観察が次年度に持ち越される。従ってLMISの購入金額約50万円を次年度に持ち越して使用する。また、試料作成に関して、従来のステーブル株作成二代わりゲノム編集を用いた手法を投入するためのセットアップに25万程度を充当する予定である。
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Research Products
(14 results)