2016 Fiscal Year Research-status Report
外分泌細胞における、小胞体膜KCa1.1チャネルの生理的、病理的役割
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15K08169
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村田 喜理 東北大学, 医学系研究科, 講師 (60455780)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小胞体 / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体はCa2+ストアとして機能し、細胞内におけるCa2+シグナリングにおいて重要な役割を持つ。また近年、神経疾患や糖尿病、急性膵炎、シェーグレン症候群などにおける唾液腺などの外分泌異常に小胞体のUnfolded Protein Presponse(UPR)と呼ばれる現象が関与することが明らかになるなど、小胞体の生理的病理学的役割が注目されている。しかし、小胞体内のイオン環境に着目した研究はほとんどない。本研究では、外分泌細胞における小胞体イオンチャネルの生理的、病理的役割を明らかにすることを目的とする。 申請者が所属する研究室独自の技術として確立している、単離した核周辺小胞体(nucclear envelope)標本における電気生理学的記録から、Ca2+依存性の電位依存性K+チャネル(KCa1.1)が小胞体内でイオンチャネルとして機能していることが明らかとなっていることから、本研究ではまず、KCa1.1チャネルを用いた研究を行った。 HEK293細胞において、小胞体内のKCa1.1チャネルが小胞体のCa2+動態に与える影響を、小胞体内のCa2+感受性の傾向プローブ(G-CEPIA)を用いて検討した結果、KCa1.1チャネルが存在するHEK293細胞では、KCa1.1を発現していない細胞に比べて小胞体内のCa2+が高く維持されていることを見出した。 さらに、KCa2.1、KCa3.1などの電位依存性を持たないCa2+依存性のK+チャネル、およびCa2+依存性を持たない電位依存性K+チャネル、Kv1.2で同様の検討を行った結果、KCa2.1、KCa3.1ではKCa1.1と同様の結果(小胞体内のCa2+が高く維持されている)は得られず、Kv1.2においてのみ、KCa1.1と同程度の小胞体内のCa2+濃度の上昇が観察された。 さらに、KCa1.1の有無による小胞体内のpH、酸化、還元状態の変化について、検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小胞体内のCa2+シグナリング、pH、酸化還元状態に対する、KCa1.1チャネルの影響を検討した。計画にある、UPRなどの生理現象に対するKCa1.1の関与、影響の評価も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
小胞体内のCa2+濃度を高く維持する機構について、さらに検討を行うとともに、UPRなどの生理現象に対するKCa1.1の関与、影響の評価を引き続き行っていく。
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Causes of Carryover |
今年度の研究を効率的に推進したことにより生じた未使用額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の請求額と合わせて、平成29年度の研究費として研究遂行に使用する予定である。
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