2015 Fiscal Year Research-status Report
神経分化における伸長因子Elongin Aの標的遺伝子の探索とその制御機構の解明
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15K08177
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
安川 孝史 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (60291936)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 転写伸長因子 / 神経分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Elongin A (EloA)は、RNAポリメラーゼ(Pol II)の転写を促進する伸長因子で、これまでの解析から感覚神経系の形成に重要な役割を果たしていることが判明している。また、EloAホモノックアウトマウスは胎生致死となり、他の転写伸長因子と相補性がないことから、個有の標的遺伝子の発現を制御していると考えられる。しかし、EloAがDNAと直接結合しないことに加えて、クロマチン免疫沈降(ChIP)に適した抗EloA抗体が無かったため、直接的な標的遺伝子は未同定のままである。我々は、高効率にPol IIを共沈可能な抗EloA抗体を作製した。そこで、神経分化制御におけるEloAの標的遺伝子の直接的な同定とその制御機構の解明を目指して、本年度は以下の研究を行った。 野生型マウス ES 細胞を用いてLIF非存在下で 4 日間浮遊培養した後、レチノイン酸存在下でさらに 4 日間浮遊培養して形成させた胚様体 (培養開始後 0, 4, 6, 8 日目に回収)を、ホルムアルデヒドによりゲノム DNA とタンパク 質をクロスリンクさせ断片化後、抗 EloA 抗体を用いて EloA/Pol II/DNA 複合体を免疫沈降させた。脱クロスリ ンク後、DNA を精製、ライブラリーを作製して高速シークエンサーHiSeq2000(Illumina)により塩基配列の 決定を行った。現在、データを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の採択が11月であったことを考慮すれば、おおむね順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の解析を予定している。 1)EloAの標的候補遺伝子に対して、個別にChIPを行い標的遺伝子上のPol IIの集積を確認する。 2)野生型ならびにEloAホモ欠失ES細胞より胚様体を調製し、抗Pol II抗体によるChIP-seq解析を行い、抗EloA抗体によるChIP-seqのデータと比較、標的遺伝子上のPol IIとEloAの集積が一致することを確認する。 3)qPCRにより、標的遺伝子の発現がEloA依存的に促進されていることを確認する。
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Causes of Carryover |
本研究課題の採択内定通知を10月末に受けた後、研究を開始したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経費は、実験の消耗品の購入に当てる。内訳は、分子生物学的実験及び生化学的実験に必要な試薬、抗体、DNA合成、プラスティック器具、そして細胞培養に必要な試薬、培地、血清、プラスティック器具等の費用である。
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