2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞内マグネシウム恒常性維持におけるTRPM7チャネルの役割
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15K08188
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
田代 倫子 東京医科大学, 医学部, 講師 (20398762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 華 東京医科大学, 医学部, 講師 (20390700)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | TRPM7 / ナルトリベン / マグネシウムイオン / 細胞内マグネシウム恒常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類細胞でTRPM7が生理的にMg2+チャネルとして働いているのか調べるために、ラット心室筋細胞を急性単離し標本として用いた。細胞内遊離Mg2+濃度([Mg2+]i)を蛍光Mg2+指示薬(furaptra)で測定した。細胞外液を高K+低Mg2+溶液に変え[Mg2+]iを一旦下げると、生理的な溶液の灌流により[Mg2+]iの回復過程が観察できる。[Mg2+]iの上昇過程は指数関数で近似できたため、流入開始時の微分値を細胞内へのMg2+流入速度として解析した。 心室筋細胞におけるMg2+流入速度と、TRPM7チャネル活性化の性質を比較した。TRPM7電流はナルトリベンにより特異的に活性化されることから、細胞内へのMg2+流入速度に対するナルトリベンの効果を検討した。ナルトリベンは容量依存性にMg2+流入速度を加速させ、50%効果濃度(EC50)はTRPM7に対する効果に類似した。複数の非特異的阻害薬の効果も類似したことを加味して、薬理学的解析からはTRPM7が生理的なMg2+流入経路として矛盾しないことを明らかにした。 次にRNA干渉法を用いて、TRPM7の発現を抑制した。TRPM7のshRNA(small hairpin RNA)と共に蛍光蛋白質(GFP)遺伝子を導入した組換えアデノウイルス(rAdV)を作成し、GFPの発現を遺伝子導入の標識とした。ラット心臓線維芽細胞において、rAdVを感染させた細胞から得られたmRNAをリアルタイムPCRで確認したところ、mRNA発現が30%程度に抑制された。ラットの心臓への直接投与を試みたが、感染効率が低かったため、成獣ラット心室筋の初代培養細胞を用いて、rAdVを感染72時間後にGFP陽性の細胞からTRPM7電流とMg2+流入速度を測定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成獣ラット心室筋初代培養細胞のTRPM7蛋白ノックダウン効率の検討には、ウエスタンブロット法による発現量の低下を示したいが、生来の発現量が多くないため困難である。TRPM7電流の低下を確認し、蛋白発現量の低下を示したいが、個体差が大きく、有意性を確認するためには多くのデータを必要とするため予定よりも時間が掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
組換えアデノウイルス生体内投与によるTRPM7蛋白ノックダウンも試みているが、ウイルスの感染効率が低く、実験に値する標本を採ることが難しい。ウイルス力価を高める工夫や投与方法の再検討を行うと同時に、生体内投与ではなく初代培養細胞を使った実験を進めて行く方針である。
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Causes of Carryover |
消耗品は施設内の在庫を先に使用したため、経費が少なかった。論文執筆の遅れにより、発表に必要な経費を次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会や論文など研究成果発表のための経費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)