2016 Fiscal Year Research-status Report
呼吸リズム生成時の細胞活性化順序の秩序形成に寄与する細胞種ならびに細胞機能の検討
Project/Area Number |
15K08196
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
尾家 慶彦 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50396470)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 呼吸中枢 / preBotzinger complex / 自発的同期活動 / 神経ネットワーク / 二光子顕微鏡 / カルシウムイメージング / 抑制性ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
呼吸中枢の一つであるpreBotzinger complex(preBotC)に存在する呼吸細胞(呼吸リズムに関連する細胞)の自発的同期活動生成に必要な神経ネットワーク構造に迫るため、抑制性呼吸ニューロンの「自発的同期活動中における活性化のタイミング」の調査を行った。 GlyT2陽性グリシン抑制性ニューロンでEGFP, GAD65陽性GABA抑制性ニューロンでtdTomatoを特異的に発現する遺伝子組換えマウスのpreBotCを含むスライス(呼吸スライス)を使用して、呼吸細胞の活動を二光子顕微鏡で記録したカルシウムイメージングデータを解析した結果、以下の結果と傾向が見られた。(1) 呼吸細胞は、局所細胞外電位(LFP)との相互相関係数を基にしてRegular typeとIrregular typeに分けられる。(2) 自発的同期活動時には、Irregular typeの興奮性とグリシン抑制性ニューロンが早いタイミングで活性化する。(3) その後、Regular typeの興奮性とグリシン抑制性ニューロンの活性化が起こる。(4) Irregular typeのグリシンならびにGABA抑制性の両者の性質をもつ抑制性ニューロンは、さらに遅いタイミングで活性化する。この現象を追及するために、現在は解析例数を増やしているところである。これらの結果は2017年3月に開催された第94回日本生理学会大会中のシンポジウムにて発表を行った。 本年度に計画していたグリア細胞の「自発的同期活動時の活性化タイミング」の調査では、GFAP-RFPマウスを使用して検出したGFAP陽性グリア細胞ならびに2uM TTX存在下でも活動するGFAPネガティブなグリア細胞共に呼吸リズムと同期する細胞はLFP信号との相互相関解析では検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
呼吸細胞の蛍光強度の変化が当初の予想よりも複雑であったため、正確な解析結果を得るためには活性化順序の自動解析結果を全て目視確認した上で修正を検討する必要があった。そのため解析に多くの時間がかかり、進展が若干遅れている。解析を進めるのと並行して、より正確な結果を得られるように連携研究者らとともに自動解析プログラムの修正にも取り組んでいるが、これも全体の進捗が若干遅れている一因となっている。今後は、阻害剤を添加した実験例をさらに増やすとともにこれらの解析を進めて行く予定である。自動解析プログラムの修正後はこれらの解析も迅速に進展すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在解析中の「抑制性呼吸ニューロンの自発的同期活動中における活性化のタイミング」について解析例を増やして、その結果を検討する。続いて、抑制性呼吸ニューロンの機能阻害時に起こる、呼吸細胞のプロファイル・活性化順序の変化等について解析を行う。その後は、研究計画書に記載しているペースメーカー細胞を対象とした実験ならびに解析を行う予定である。 また、グリア細胞の「自発的同期活動時の活性化タイミング」の調査に向けては、サロゲートデータ法による呼吸性グリア細胞の検出も検討する。
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Causes of Carryover |
入手したデータが当初の予想より複雑であったため、今年度は解析がメインとなり実験頻度が少なくなった。そのため、実験に使用する消耗品・機器等への使用額が当初の予定より少なく減った。また解析に時間がかかったため、学会発表等も1回だけであったため、旅費や出版費用に使用した額が少なかった。これらの理由のため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在行っている解析が終了次第、実験頻度を上げる予定である。これにより消耗品・機器等への研究費の使用額が増加する。また、解析結果の海外発表、論文投稿等を予定しており、これにも旅費・出版費等が必要となってくる。このような予定を踏まえて、当初の計画通り使用する予定である。
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