2016 Fiscal Year Research-status Report
カルシウムシグナル調節を介した新規代謝制御機構の解明
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15K08200
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
西谷 友重 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50393244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 修 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (40283593)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肥満制御 / カルシムシグナル / ミトコンドリア呼吸 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は各種生活習慣病のリスクを高めることから、その発症・抑制経路を明らかにすることは極めて重要である。申請者らは、細胞内Ca2+シグナル調節に関わるCa2+センサーNCS-1の全身欠損(KO)マウスが顕著な肥満を発症することを見出した。本研究では、NCS1 KOマウスの肥満の原因を、個体・細胞・分子レベルで探ることにより、NCS-1の標的分子を含めた新しい肥満調節経路を見出し、細胞内Ca2+シグナル調節による新規の代謝制御機構の詳細を明らかにすることを目的とした。これまでの研究で、代謝ケージを用いた個体レベルでの解析により、摂食、運動量は変わらないが、エネルギー代謝(酸素消費量及び二酸化炭素排出量)がKOマウスで顕著に低下しているという興味深い結果が得られた。そこで昨年度では、KOマウスにおいて、なぜエネルギー代謝が低下しているかについて、細胞レベルで検討を行った。方法は、細胞外フラックスアナライザーを用いて酸素消費量を測定し、ミトストレステストという方法によりミトコンドリア呼吸の主要な指標(基礎呼吸、ATP産生、プロトンリーク、最大呼吸、予備呼吸能)を解析した。その結果、野生型(WT)に比べてKOマウス細胞では、全ての指標が低下していることが明らかとなった。しかし、それぞれの容量比はほぼ同じであったことから、ミトコンドリア機能というよりは、ミトコンドリア量が低下していると考えられた。実際、ミトコンドリアマーカー(Complex1-V)の量を比較するとKOで低下していた。すなわち、KOマウスではミトコンドリアの生合成が何らかの原因により低下することにより、エネルギー代謝が低下し、肥満に落ちいったと考えられる。今後は、これらの分子メカニズムおよび細胞内Ca2+シグナルの関連について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NCS-1 KOマウスによる顕著な肥満の原因として、個体レベルでの解析からエネルギー代謝が低下していること、さらに細胞レベルでの解析からミトコンドリア呼吸量が低下しているためであるという最も重要なメカニズムが明らかとなった。従って順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、分子レベルで何が生じているか解析するため、WTおよびKOマウスにおける褐色脂肪組織、白色脂肪組織及び肝臓を用いてメタボローム解析を行う予定である。また、Ca2+シグナルとの関連を明らかにするため、Ca2+シグナル関連因子との相互作用を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
ドイツでの国際研究会参加が招待講演で、宿泊費や旅費の大部分が免除されたため次年度使用額が生じた。なお、物品費が予定より多くなったため、繰越金はそれほど多くはない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には論文執筆を予定しているので、英文校正費に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)