2016 Fiscal Year Research-status Report
気象病発症メカニズムにおける気圧感受機構の解明ー動物実験と臨床実験の連携研究ー
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15K08206
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 純 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 客員教授 (00235350)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 低気圧 / 前庭神経 / 免疫染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床実験 天気悪化に伴う痛みやめまいなどの不快な感覚を示す被験者に対して,日常体験する程度の低気圧曝露(1013 Pa から 40 hPa分減圧)を2日間にわけて繰り返し行った.計6名の被験者について,当日の服薬状況を調査し,疼痛悪化との相関性があるかを調査した.当日,抗めまい薬を服用してきた日には低気圧曝露による症状悪化の程度が,服薬していない日にくらべ明らかに減弱していた.また,新規のアルゴリズム(未公表)で内耳を電気刺激する効果についても3名で確認した.低気圧曝露すると,疼痛などの症状が質問票で悪化する事が確認でき,また心拍間隔変動でストレス変化が確認できた,また,内耳の電気刺激を組み合わせたことで,疼痛悪化が抑制できることも明らかとなった.さらに,低気圧曝露中に鼓膜温度の変化を確認したところ,気象病患者には特徴的な変化がみられる可能性が示唆された.
動物実験 野性型マウスを用いて,1時間の回転刺激を行い,新しいセットアップで前庭神経核細胞の免疫染色を行った.また,回転刺激を行わずに回転音だけ聞かせたマウスについても,対照群として免疫染色を行った.結果として,名古屋大学で得られた結果(回転刺激によって,前庭神経核にc-fosタンパク質陽性細胞を確認した)と同様の結果が愛知医大で再構築したセットでも再現できることを確認した.この結果を受けて,同じ染色条件で,1013 hPaから40 hPa 分の低気圧曝露を行ったマウスについても,c-fos陽性細胞をを確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年4月末で名古屋大学動物実験支援センターを退職し,愛知医科大学医学学際的痛みセンターに移籍した.それにともない,これまでのヒトを対象とする臨床実験,動物実験ともに,実験セットアップを同大学に移動した.また,臨床実験に関する倫理委員会の承認,動物実験に関する倫理委員会の承認に関する手続きと,新しい実験室の整備とセットアップの構築に予想以上に時間がかかり,本年度5月~12月までの間,全く実験が行えない状況となった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年12月末までに,臨床実験と動物実験それぞれの倫理委員会の承認が得られ,ヒトを対象とする実験のための新しい低気圧チャンバーの設置,また動物実験の実験室の整備とセットアップについても平成29年3月までに完了したので,最終年度はそれぞれの実験系について急ピッチで遅れを取り戻す.
具体的には,内耳の電気刺激装置の作製はほぼ完了しており,両鼓膜温度の測定のための最適な測定プローブの購入も終わっている.これらの装置を用いて低気圧曝露中の被験者からのさらに詳細な生体情報を得られることが可能となった.また,動物実験においては新しいセットアップでの免疫染色法の技術も実験再開後3ヶ月で確立できたので,今後,低気圧刺激による前庭神経核細胞の興奮性を定量的に確認するための実験を急ピッチで進めている.
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Causes of Carryover |
当年4月末日をもって,名古屋大学を退職し,実験の拠点を愛知医科大学に移動したため,動物実験も臨床実験も倫理委員会の承認を改めて得るために,相当日数を費やさなければならなかった.また,動物実験室のセットアップに時間がかかり,実験を再開できたのが平成29年1月になったからである.また,臨床実験においても新しい低気圧チャンバーの設置に時間がかかったため,当初予定していた実験がほとんど進められなかった,
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,動物実験と臨床実験の遅れを取り戻すべく,新たに実験研究員を雇用し,急ピッチで実験を行ってゆく.最終年度終了時点で当初の予定通りに研究が進めない見込みとなった場合には,研究期間の延長も考慮する.
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Research Products
(13 results)
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[Patent(Industrial Property Rights)] 治療器2016
Inventor(s)
佐藤純,青野修一,櫻井博紀,齋藤愛子,戸田真弓
Industrial Property Rights Holder
パスカル・ユニバース株式会社
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
2016-170538
Filing Date
2016-09-01