2017 Fiscal Year Research-status Report
自発的運動によって活性化される脳内分子のレジリエンス亢進作用の解明と応用研究
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15K08218
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
間宮 隆吉 名城大学, 薬学部, 准教授 (70340297)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ストレス / レジリエンス / アセチルコリン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27-28年の2年間の結果をもとに創薬につなげられるよう基礎研究を行った。これまでに、アレイ解析等から、アセチルコリン受容体(AChR)がレジリエンスに深く関与していることも見出してきた。一方、胎仔期にニコチンを暴露されて生まれたマウスは、5~8週齢時に衝動性の亢進や注意機能障害など注意欠如多動症に類似した行動障害を示すことを報告している。平成29年度は、このモデル動物に対するガランタミン(アセチルコリンエステラーゼ阻害およびニコチン性ACh(nACh)受容体に対するアロステリックモジュレーター薬)の有用性について検討した。モデルマウスが生後5週となったら、ガランタミンを単回投与し、行動薬理学的評価(断崖回避試験及び物体随伴性注意試験)を行った。その結果、上述した行動障害に対し、ガランタミンは緩解作用を示した。そして、その緩解作用にはα7nAChRを介していることが示唆された。このことは、α7nAChR刺激が、衝動性の亢進や注意機能障害に有効であることを示している。これまでの創薬開発研究は、全く新しい作用機序を持つものが求められてきたが、近年は開発費や副作用発現の点から困難になってきている。創製のために「ドラッグリポジショニング概念」を応用すれば、副作用が判明している既存薬の新しい作用を見出すことも有用である。本研究結果から、アルツハイマー型認知症治療薬として用いられているガランタミンのもつ新しい効果を見出し、創薬につなげられるのではないかと期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した実験内容についてほぼ進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
生体そのものが有するストレスに対する抵抗力(レジリエンス)解明を目指している。これまでに脳が病気にならないための防御機構の一部として、いくつかの経路について検証してきた。その過程で、既存の医薬品の新たな役割を見出し、臨床適応追加の可能性を報告できた。今後も、より詳細な検証を続けることによって、精神疾患の予防法や治療法の開発へつなげていきたい。現在、本成果の一部については、英文論文として投稿中である。
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Causes of Carryover |
購入した一部の試薬が見積もり価格より安価に購入できたため、差額が生じた。本年度は他の研究費と合わせて特に論文作成、追加実験等を行う予定である。
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