2016 Fiscal Year Research-status Report
心筋細胞内への特異的薬物送達システムの開発と心疾患治療への応用
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15K08235
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
本田 健 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30457311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 誠 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70223237)
酒井 大樹 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40464367)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 核酸アプタマー / 心筋細胞 / 細胞内導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度に得た心筋細胞特異的に細胞内へ侵入するアプタマー候補について、血中半減期が数時間程度あることや、ラット心筋への特異性を確認することができた。マウス生体への投与では分子サイズが小さいため、迅速に腎排泄されるなどの課題が見出された。薬物を送達する能力を評価するため、(低分子医薬を見据えて)ビオチンを、高分子としてポリエチレングリコール(PEG)鎖をアプタマーへ化学結合した。PEG化は低分子の腎排泄回避に頻用されるため、その検討も踏まえている。いずれの修飾でもアプタマーの活性は保持され、低分子または高分子化合物の細胞内送達が可能であることを確認できた。次に、アプタマーの侵入を可視化すべく、修飾アプタマーの検出系を構築した。心筋細胞にビオチンまたはPEG修飾アプタマーを作用させ、アビジンまたは抗PEG抗体を用いて、ペルオキシダーゼ検出系により侵入量を定量化するシステムを構築した。この系にて条件を最適化し、ペルオキシダーゼを蛍光プローブへ置き換えて画像解析を試みたが、心筋細胞の自家蛍光、蛍光プローブの非特異的吸着が予想以上に高く、課題が見出された。現在、より輝度の高い蛍光ナノ粒子を用いた検出系の構築を試みている。 心筋侵入アプタマーの作用相手を抽出するトラップアプタマーの合成にも着手した。まずアプタマー3’側にアデニンを100塩基ほど伸長反応で付加し、活性に影響がないことを確認した(搭載した核酸医薬を細胞内へ送達させる能力があることを示唆する結果)。次に、ビオチン化アデニンを伸長時に織り混ぜ、ビオチンを複数含むアプタマーを作製、さらに5’側にベンゾフェノンを化学結合させ、トラップアプタマーの合成に成功した。ベンゾフェノンは紫外光で近接する蛋白質をトラップする。紫外光強度や照射時間などの検討をはじめ、心筋細胞に対してトラップアプタマーが効率的に作用する条件を精査している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心筋細胞内への侵入機能を指標とした新たなスクリーニング法の構築、また侵入活性の定量評価に成功し、心筋細胞侵入アプタマー候補を獲得できた。さらに、それらアプタマーが薬物(キャリア分子)を心筋細胞内へ送達する能力を有することを確認できた。生体への投与方法では解決すべき課題が見え、申請書にて想定していた対策、例えばPEG化などを行って改善を試みているところである。また、心筋侵入アプタマーの作用相手抽出に必要なトラップアプタマーの合成にも目処がつき、抽出プロトコル、条件検討も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋侵入アプタマーの細胞内への局在を可視化すべく、より輝度の高い蛍光ナノ粒子を用いるなど、高感度検出系を構築していく。PEG化アプタマーを試みるなど、生体投与のための条件検討を引き続き行っていく。また、合成したトラップアプタマーを用いて、心筋侵入アプタマーの作用相手抽出のための条件最適化を進め、アプタマーが結合する蛋白質、すなわち心筋細胞特異的取り込み蛋白質を同定し、心筋侵入アプタマーの作用機序の解明を試みる。
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Research Products
(5 results)