2015 Fiscal Year Research-status Report
リアノジン受容体不整脈原性変異体の活性制御モデル構築と治療薬探索への応用
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15K08243
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
呉林 なごみ 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50133335)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リアノジン受容体 / 不整脈 / カルシウム / 心臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋興奮収縮連関に中心的な役割を果たすCa2+遊離チャネル/2型リアノジン受容体 (RyR2)の変異はCPVT (カテコラミン誘発性多型性心室頻拍)をはじめとしたさまざまな心室性不整脈疾患の原因になる事が知られる。RyR2のCa2+遊離活性は、細胞質側のCa2+ (CICR)と小胞体内腔側Ca2+ (SOICR)の2種類の機構により制御されるが、CPVTやその他の疾患変異においてこれらの制御がどのように変化するのか未だ一致した見解がない。本研究計画ではRyR2変異がどのように心室性不整脈につながるCa2+動態をもたらすか理解し、治療薬探索のための基盤を作ることを目的とする。27年度は、心室性不整脈疾患として、CPVTと特発性心室細動(IVF)、QT延長症候群(LQTS)に関連付けられる変異に注目した。変異RyR2をHEK細胞に発現し細胞質及び小胞体のCa2+動態解析を行い、また[3H]リアノジン結合によりCa2+依存性Ca2+遊離(CICR)活性を測定した。さらにCICR活性から得られたパラメータを用い、Ca2+動態のシミュレーションを試みた。その結果、RyR2からの自発的Ca2+遊離は基本的には細胞質側のCa2+、すなわちCICRにより制御されること、すべてのCPVT変異ではCICR活性が高まり自発活動性が上昇している事が分かった。一方、IVFやLQTS変異ではCICR活性が高まるものと低下する変異があることが、蛋白発現して解析する事により初めて明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、計画通り、細胞質およびERのCa2+測定、[3H]リアノジン結合によるCICR活性を感度よく定量的に測定することが出来、それぞれの疾患変異の重症度や性質が明らかになってきた。また、シミュレーションも連携研究者の協力により順調に進んでいる。さらに、RyR2阻害薬および促進薬の探索も同じシステムを用いてはじめたところである。。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は下記の三つである。 (1)現在行っているHEK細胞系を用いた解析とシミュレーションにより、RyR2疾患変異体のRyR2分子自身に由来する特性を調べ、細胞質側からの寄与の有無を明らかにする。 (2)心筋細胞中に存在するRyR2分子以外の要素(他の蛋白との相互作用やRyR2のリン酸化など)の影響を調べるため、培養心筋細胞であるHL-1や動物の心筋細胞に変異RyR2を発現させ、心筋細胞の環境内ではじめて見られるRyR2の活性変化を調べる。また心筋細胞に発現する事により、様々な不整脈(CPVT,IVF、LQRS等)の再現を試みる。 (3)化合物ライブラリを利用し、RyR2活性を制御する薬物の探索を行う。
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Causes of Carryover |
年度末の2月に購入しようとした顕微鏡用のキセノンランプの納入が3月いっぱいに間に合わない(納期40日)ことが判明したため、28年4月になってから発注することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
顕微鏡用のキセノンランプを購入する。
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Research Products
(7 results)