2015 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー性気管支喘息時の過敏性気管支平滑筋細胞におけるエピゲノム変化とその遺伝
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15K08248
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
千葉 義彦 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (00287848)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 気道過敏性 / 気管支平滑筋 / RhoA / 複数世代抗原暴露 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、気管支喘息や花粉症をはじめとするアレルギー疾患の罹患率が著しく増加している。その原因は不明であるが、親世代のアレルギー疾患の罹患によりその子孫に影響が及び、これがアレルギー症状を発現しやすい状態を引き起こしている可能性も考えられる。一方、当研究室ではこれまでに、喘息時の気管支平滑筋においてRhoAタンパク質発現が増加し、気道過敏性 (AHR) 発現への関与を示唆している。そこで本研究では、当研究室で開発した気管支喘息モデルマウスを用い、親世代 (P) から第三世代 (F3) まで連続的に受けた抗原暴露のRhoAタンパク質発現に及ぼす影響について検討を行った。雄性および雌性のBALB/cマウス (7週齢) を用い、ovalbumin抗原にて感作、追加感作および抗原反復吸入チャレンジを行うことにより気管支喘息モデルマウスを作製し、これをP群とした。さらに、これらP群について抗原チャレンジ時に交配を行い、生まれた仔マウスをF1群とし、同様に7週齢時より抗原刺激を行った。同様の操作をF3群まで繰り返すとともに、各群の雄性動物について最終抗原チャレンジ終了24時間後に実験に供した。非感作コントロールであるP-NC群と比較して、抗原刺激を行ったP-Chal群では気管支平滑筋RhoAタンパク質レベルおよび気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中IL-13レベルの有意な増加が認められた。このRhoA up-regulationについてP-Chal群とF3-Chal群で差は認められなかったが、F3-Chal群においてIL-13 up-regulationが減弱する傾向が認められた。すなわち、F3-Chal群ではより少ないIL-13レベルでRhoA up-regulationが惹起され、複数世代にわたる抗原暴露によりわずかな抗原刺激でも喘息病態が形成されやすくなる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画の通り、ほぼ当初の計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
気管支平滑筋組織よりゲノムDNAを抽出して断片化後、抗メチル化シトシン抗体にて免疫沈降を行い、得られたメチル化DNA断片にアダプタ付加後PCR増幅でライブラリを作製し、すでに次世代シークエンスを行っている。平成28年度中にこのデータを詳細に解析して、得られた配列をマウスゲノム上にマッピングして高メチル化領域を同定し、喘息時に変化する領域およびそのF3世代への継承を予測する。さらに、その予測領域について、メチル化特異的PCR法(MSP法)およびqPCR法を用いてメチル化変動の確認・定量を行い、喘息時の気管支平滑筋におけるDNAメチル化レベルが変動する領域を同定するとともに、その変動が次世代に継承されることを証明する。
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Causes of Carryover |
研究計画に変更点はないが、使用した消耗品の一部の価格について、計画当初より安価に入手することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度研究計画で使用する消耗品のうち価格上昇が見込まれる消耗品もあるため、平成28年度分と合算してすべて使用する予定。
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