2015 Fiscal Year Research-status Report
心筋細胞膜不安定化におけるG蛋白共役型受容体構造変化と機能解析ー心保護薬への影響
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15K08254
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
三浦 伸一郎 福岡大学, 医学部, 准教授 (20343709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 循環器・高血圧 / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
G蛋白共役型受容体ファミリーに属するAngiotensin II(Ang II)1型(AT1)受容体は、細胞膜に組み込まれた後、Ang IIやAT1受容体ブロッカー(ARB)により活性化や不活性化を受ける。細胞膜コレステロールは、膜安定化に必須の成分であるが、心血管細胞膜のコレステロール含量が減少している場合(スタチンによる積極的脂質低下療法などで細胞膜が不安定化)、AT1受容体構造や機能の変化が心血管保護へ働くのかについて検討した。 方法は、1.心筋細胞、平滑筋細胞やAT1受容体を強発現させたCOS1細胞やHEK293細胞を用いた。2. スタチンやMethyl-beta-cyclodextrin(MbCD)にて細胞膜を処理し、コレステロールを引き抜いた。また、細胞膜のコレステロール量はコレステロールアッセイキットを用いて測定した。3. 細胞膜のAT1受容体発現量を125I-[Sar1,Ile8]Ang IIを用いたBinding studyやウエスタンブロット法により測定した。4. AT1受容体機能は、血管収縮シグナルのイノシトールリン酸(IP)産生能を測定し評価した。現在までの結果は、スタチンやMbCDは、心筋細胞・平滑筋細胞やAT1受容体発現COS1細胞やHEK細胞において、用量依存性に細胞膜のコレステロール濃度を低下させ、Ang IIによるIP産生能は、前処理したスタチンやMbCDの用量依存性に低下していた。また、MbCDにより細胞膜コレステロール濃度を減少させると、Ang IIやARBのAT1受容体への結合能が有意に低下し、細胞膜へ発現しているAT1受容体量は影響を受けなかったが、Ang IIが結合可能なAT1受容体発現量がMbCDの用量依存性に低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroにおける実験系の確立が終了し、結果として、細胞膜からのコレステロール減少による様々な作用が観察されている。次年度に、更なるメカニズムの解明とIn vivoの実験へおおむね移行可能な段階にきている。
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Strategy for Future Research Activity |
AT1受容体構造変化の解析は、Substituted-cysteine accessibility method(SCAM)により、細胞膜を2-Aminoethyl methanethiosulfonate hydrochlorideで処理後、125I-[Sar1,Ile8]Ang IIの結合阻害率を算出予定である。さらに、野生型マウスを高用量と低用量スタチン投与群および非投与群に分け、試験を開始後、経過を観察し、試験開始後8日目より、Ang IIを持続的にosmotic min pumpにより投与し、経時的に血圧値と脈拍数を測定予定である。
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