2016 Fiscal Year Research-status Report
褐色脂肪細胞を標的としたAng 1-7の肥満治療への探索
Project/Area Number |
15K08281
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森 潤 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20750011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 聖明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10305576)
中島 久和 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80363985)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / アンジオテンシン 1-7 / 抗肥満治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
生後4週のC57BL/6マウスを普通食と60%脂肪の高脂肪食で8週間飼育した。更に、飼育開始4週間後からアンジオテンシン 1-7 (Ang 1-7)または生食投与を行い、普通食摂餌マウス+Ang 1-7投与、普通食摂餌マウス+生食投与、高脂肪食摂餌マウス+Ang 1-7投与 (HFD+Ang 1-7)、高脂肪食摂餌マウス+生食投与の4群でAng 1-7の褐色脂肪細胞に対する効果の検討を行った。HFD+Ang 1-7群では、食餌摂取量が減少することなく体重が減少し、更に酸素消費量の増加を認めた。また、UCP1やPRDM16の発現亢進を伴う褐色脂肪組織増大を認めた。褐色脂肪組織においては、1) PI3K/Akt シグナルの亢進(インスリンシグナルの改善)、2) Hormone Sensitive Lipaseの発現上昇やPerillipinの発現低下を伴う脂肪滴の狭小化(リポリーシスの改善)を認めた。 白色脂肪細胞のベージュ化の検討を行ったが、ウェスタンブロッティングや免疫染色での検討で高脂肪食+Ang 1-7群においてUCP1の発現亢進は認めなかった。 これらの結果から、Ang 1-7は白色脂肪細胞のベージュ化を引き起こすことなく、褐色脂肪細胞の分化・増殖に関与するPRDM16の発現を上昇により褐色脂肪組織増大させ、UCP1による非ふるえ熱産生による代謝亢進により体重現象効果を発揮することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度研究実施計画のうち、当初の予定通り1) Ang1-7の褐色脂肪細胞に対する影響の評価、2) Ang 1-7による白色脂肪細胞のベージュ化への評価を行い、Ang 1-7が褐色脂肪細胞の分化・増殖を引き起こし、UCP1による熱産生を介し体重を減少させること、またその効果に白色脂肪細胞のベージュ化は関与しないことを示唆するデータを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
Ang 1-7の褐色脂肪細胞の分化・増殖作用に関わる分子生物学的検討を行い、ターゲットとなる因子の同定を行う。 今年度中に得られたデータをまとめて学術雑誌への掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
必要物品を購入し、その他に購入する物品がないため次年度使用額(BーA)に掲げる残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、計画最終年度であり、研究業績を学術誌に投稿・発表をしていく予定であり、それに伴う必要経費に使用する予定である。
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