2016 Fiscal Year Research-status Report
低酸素誘導因子HIFによる糖鎖関連遺伝子の転写誘導とその病態的意義の総合的解明
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15K08288
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
神奈木 玲児 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 客員教授 (80161389)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 低酸素 / 糖鎖関連遺伝子 / 転写調節 / 単クローン抗体 / がん / HIF-1α / CD44 / ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は以前より糖鎖の合成・発現に関与する糖鎖関連遺伝子の転写調節機構を解析してきたが、これまでに検討した転写因子のうちで、HIFはとりわけて多数の糖鎖関連遺伝子の転写を誘導する点で際立っている。我々は従来からこの点に注目して検索を進め、HIFによる癌細胞の低酸素適応において糖鎖関連遺伝子が機能的にも大きく関与することを示す成績を得てきた。細胞が低酸素環境に置かれると、転写因子HIFの核移行が促進し、これにより低酸素環境への適応能ないし耐性を増大させる一連の遺伝子の転写が誘導される。今年度は癌細胞で重要な役割を演じる細胞接着分子CD44のリガンドであるヒアルロン酸の合成酵素、HAS1、HAS2、HAS3のうちHAS3が低酸素により転写誘導され、またヒアルロン酸の分解酵素のうちHYAL1もまた低酸素により転写誘導されることを見いだして、転写因子HIFがそれらの誘導に深く関与することをレポーターアッセイおよびChIPアッセイにより実験的に証明した。これらの遺伝子をshRNAを用いてノックダウンした細胞を樹立し、その安定的クローンを得て、発現糖鎖や細胞生物学的実験、および実験動物を用いた腫瘍治療実験の準備を整えた。これらの遺伝子の5'調節領域における転写因子による調節に加えて、3'側におけるmicroRNAなどによる調節の有無を調査するため、3'UTR部のレポーターコンストラクトの作成、および細胞内でのmicroRNAの結合を確認するためのMiaTrapアッセイ法の準備を開始した。また、HAS3およびHYAL1とともにヒアルロン酸の代謝に関与するその他の遺伝子についても発現糖鎖や細胞生物学的実験、および実験動物を用いた腫瘍治療実験を行うための準備を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は今後の研究の展開に必要なベクター、遺伝子導入細胞の作成を行った。一部はすでに作成を完了し、他の一部は作成のための準備を整えた。またmicroRNAについて新しい研究法を採用するための準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実験に必要な遺伝子導入癌細胞株のうち主要な部分を作成できたので、次年度はこれらを用いて実験動物を用いた腫瘍治療実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
投稿を予定していた論文のうちひとつの執筆がやや遅れたため、英文校正代として予定していた支出が次年度の支払いとなったため、その分が次年度使用額となった。翌年度分として請求した助成金の使用計画には変更がない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していた英文論文の英文校正代を次年度の早い時期に支出する予定である。翌年度分として請求した助成金の使用計画には申請書どおりで変更がない。
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Research Products
(4 results)