2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒトにおける加齢に伴うエピゲノム変化の捕捉とその病的意義の解明
Project/Area Number |
15K08290
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山本 健 久留米大学, 医学部, 教授 (60274528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 二朗 久留米大学, 医学部, 講師 (10373094)
大中 佳三 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30325518)
塚口 舞 (古澤舞) 久留米大学, 医学部, 助教 (40624094) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / ELOVL2 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織特異的な遺伝子発現制御の一端を担うDNAメチル化やヒストン修飾(エピゲノム)は、細胞分裂後も維持されるクロマチンメモリーとして機能し、細胞の正常な分化・増殖に重要な役割を演じている。 研究代表者らは加齢によるDNAメチル化変化の可能性に着目し、約480名の一般住民集団より得た末梢血由来DNA検体を用いて45万DNAメチル化サイトのメチル化レベルと加齢との関連を解析し、有意な変化を7遺伝子領域に同定した。 興味深いことに、それらの遺伝子には、エイコサペンタエン酸(EPA)ドコサヘキサエン酸(DHA)の血中濃度との遺伝的相関が近年明らかとなったELOVL2が含まれていた。ヒトで認められた加齢との相関がマウスでも種を越えて観察されるか、そしてその臓器特異性の有無を明らかにするために、4週齢と100週齢のマウスの各臓器を解析対象として当該メチル化部位のメチレーションレベルを検討した。マウスは各15匹ずつ、大脳、小脳、肺、心臓、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓、大腸、精巣/卵巣、尾を対象臓器とした。メチル化レベルの測定にはパイロシークエンス法を用いた。解析の結果、メチル化変化が種差を超えて起こることが明らかとなり、特に肺(Pc = 1.7E-07)、脾臓(Pc = 1.4E-09)、大腸(P = 4.3E-08)、尾(Pc = 0.0001)に有意な差を認めた。今後、これらの臓器における、加齢に伴うDNAメチル化変化の生理的な意義を解明したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定通りに、加齢に伴うDNAメチル化レベル変化が種を越えて保存された重要なエピゲノム変化の一つであることが証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた成果を基盤として、そのメチル化変化の生理的な意義解明に向けて研究を進める。第一に、メチル化変化を来たしゲノム領域が遺伝子発現に影響を及ぼす制御領域であるか否かを検討する。第二に、当該遺伝子の発現量変化が細胞機能に与える影響を明らかにする。
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