2016 Fiscal Year Research-status Report
TDP-43プロテイノパチーにおける神経変性機序に関する研究
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15K08297
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 唯史 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (30334337)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | TDP-43 / 筋萎縮性側索硬化症 / 前頭側頭葉変性症 / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
①オートファジー機構がTDP-43による神経変性に与える影響の検討。これまでに、TDP-43 tg flyを用いてTDP-43の神経毒性にAtg1を介したオートファジーが関与することを明らかにした。そこでTDP-43がオートファジー活性に関与するか解明するため、Neuro2a細胞においてTDP-43をノックダウンしたところ、Atg1哺乳類ホモログであるUlk1の発現量、及びオートファジー活性が低下し、ヒトTDP-43を発現させると回復した。一方RNA結合能を欠いたTDP-43を発現させても回復しなかった。さらにCRISPR/Cas9を用いてUlk1の3’UTRの(UG)n領域を欠損させると、TDP-43ノックダウンによるUlk1発現の低下が抑制された。これらの結果はTDP-43がUlk1のmRNAを介してオートファジーを制御することを示唆する。 ③TDP-43による神経変性に関与する遺伝子の網羅的探索。TDP-43 tg flyの毒性に関与する遺伝子の網羅的探索を行いAtg1あるいは、オートファジー経路に関与するAtg13, Atg7, Atg5, LC3がTDP-43毒性依存的に発現上昇すること、そしてそれらのノックダウンはTDP-43の毒性を軽減させることを見出した。 ④TDP-43の核細胞質間輸送機構の解明。Tg flyを用い、ALSの病因遺伝子であるProfilin1の変異がTDP-43の局在を細胞質に移行させることにより、毒性を増悪することを見出し、発表した (Matsukawa, et al., JBC 2016) 。 ⑤TDP-43プロテイノパチーモデルマウスの作出。前年度作出したAAV9-TDP-43を用いてTDP-43を脊髄運動ニューロンに過剰発現するモデルマウスを用い、生化学的にUlk1の発現が低下すること、免疫組織化学的にユビキチン陽性所見が増加することを見出した。さらにAAV9-TDP-43マウスは進行性の運動機能低下を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
②の項目は既に完了した。また、①、③、⑤の項目は予定通りに進行しており、TDP-43がAtg1/Ulk1のmRNAを介して、毒性を発揮すること。さらにTDP-43は生理的条件下でもオートファジー制御因子であることを、これまでのTDP-43 tg flyにおいて明らかにし、新たなTDP-43プロテイノパチーモデルマウスにおいても見出しつつある。さらに④の項目ではfALS変異型Profilin1がTDP-43の細胞質移行を促進することにより毒性を発揮することを見出し、発表した。これらの結果から、研究は概ね順調に進行していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
⑤で作出したTDP-43プロテイノパチーマウスモデルを用い、TDP-43の神経毒性にオートファジーがどのように関与するか、in vivoレベルで検討する。特にUlk1を欠損させたマウスにおいて、TDP-43の毒性について検討する。さらに、①の検討からTDP-43が生理的な条件でオートファジー活性に関与することが示された。そこで、さらにNeuro2a細胞を用い、TDP-43がオートファジーを制御する機序について検討を行う。
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[Journal Article] Soluble oligomeric amyloid-beta induces calcium dyshomeostasis that precedes synapse loss in the living mouse brain.2017
Author(s)
Michal Arbel-Ornath, Eloise Hudry, Josiah R Bovine, Tadafumi Hashimoto, Shuko Takeda, Kishore V Kuchbhotla, Steven Hou, Carli R Lattarulo, Arianna M Belcher, Naomi Shakerdge, Pariss B Trujillo, Alona Muzikansky, Rebecca A Betensky, Bradley T Hyman, and Brian J Bacskai
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Journal Title
Molecular Neurodegeneration
Volume: 12
Pages: 27
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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