2017 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉相互転換システムを利用した細胞極性の形成と消失の可逆的制御機構の解析
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15K08308
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
福田 信治 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (70398238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東山 繁樹 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60202272)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳腺細胞 / 上皮間葉転換 / RSK / CRISPR |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞に由来するがん細胞は、上皮間葉転換と間葉上皮転換によって、遠隔転移を起こすと考えられている。上皮と間葉の可塑性を制御する分子機構は、がんの転移を抑制するために重要なポイントであるが、詳細は不明である。ヒト乳腺上皮細胞株MCF10Aを使った実験から、EGF受容体下流のキナーゼRSK2は細胞間接着や運動など、間葉の特性を正に制御する因子であることが分かった。本年度は、RSK2が関与する分子ネットワークを明らかにすることを目的に研究を行った。RSK2は他のRSKファミリーと高度に保存されていることから細胞内局在を免疫染色で解析することが難しいため、CRISPR-Cas9システムを使ったGFPノックイン細胞の樹立を試みた。核移行シグナルを付加したCas9をレンチウイルスベクターで強制発現させることによって、RSK2-GFP発現細胞を樹立した。GFP抗体を用いた免疫染色によって、EGF刺激後にRSK2の核移行が観察されたことから、機能的なタンパク質が作られていると判断した。この細胞を用いてGFP抗体を使った免疫沈降を行い、質量分析による相互作用因子の同定を試みた。免疫沈降物の中にRSK2及びGFPは十分検出できたため、免疫沈降そのものは問題ないことがわかった。一方で、数個の結合因子候補を見出すのみに留まり、SILACラベルによる定量と合わせると、現時点で有力な結合因子候補は得られていない。現在、RSK2と物理的に近距離に存在するタンパク質を同定する方法へ切り替え、実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RSK2結合タンパク質の同定が通常の免疫沈降-質量分析実験では困難であったため。これに関しては、キナーゼと相互作用因子の結合がリン酸化反応依存的な一過的なものであることに起因する可能性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
結合タンパク質、基質などを広範囲で同定可能な手法に切り替える。このため、RSK2-APEX2, RSK2-BirA融合タンパク質の発現ベクターを構築し、実験系の最適化を行う。
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Causes of Carryover |
通常の質量分析による相互作用因子同定が困難であり、実験系の再検討が必要となったため。
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