2016 Fiscal Year Research-status Report
白血球の遊走方向を制御する細胞極性蛋白質複合体の作用機構
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15K08309
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鎌倉 幸子 九州大学, 医学研究院, 講師 (80398081)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞極性 / 白血球 / ケモタキシス |
Outline of Annual Research Achievements |
好中球は、私たちの体を循環する末梢白血球の約6割を占める細胞であり、その役割は体内に侵入した真菌や細菌などの外来微生物を 貪食し殺菌することである。私たちの体は常に外界からの微生物の侵入にさらされており、好中球が10分の1に減少すると無菌室に入らなければ生きていくことができない。このように好中球がヒトの生命を守るためには、ケモタキシス(chemotaxis)により微生物の侵入部位/炎症部位へ素早く到達することが不可欠である。しかしながらどのように好中球が「正確に」目的地にたどり着くのか、その分子機構は不明な点が多い。申請者は最近、好中球の遊走方向を制御するGPCR下流の新しいシグナル経路を明らかにした (Kamakura et al., Dev. Cell, 2013)。本研究では、この新規なGPCRシグナルの最も下流で機能するキナーゼ (atypical protein kinase C: aPKC) の基質を同定し、好中球が遊走方向を制御するための分子機構を明らかにする。平成28年度は、平成27年度までに見出していた基質候補の蛋白質のうち、2つの基質候補蛋白質について重点的に解析を行った。リコンビナント蛋白質を用いたpull-down assayや、HEK293細胞を用いた免疫沈降実験から、基質候補蛋白質とaPKC-Par6との結合を明らかにした。また、PLB-985細胞株を用いてsiRNAによるノックダウンを行い、ケモタキシスの効率を著しく低下させること等を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の実験計画通りに、順調に研究を進めることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
mass spectrometry 解析によって得られたPar6-aPKC結合蛋白質の候補については、in vitro キナーゼアッセイや phos-tagを用いるなどの方法で、実際にaPKCの基質としてリン酸化されるかどうかを検討する。またリン酸化サイトについてもmass spectrometryを用いて同定を行う。リン酸化された候補分子については、その分子がケモタキシスの際の方向性の維持(=pseudopod の伸張の維持)に必要かどうかを検討するために、CRISPR-Cas9による遺伝子欠失や、siRNAを用いたノックダウンを行い、これまでに立ち上げてきた3次元のchemotaxis assay系を用いて解析を行って行く方針である。
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