2015 Fiscal Year Research-status Report
NKレセプターリガンド群の機能多様性による免疫制御機構の解明
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15K08328
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
成瀬 妙子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (80422476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 彰方 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60161551)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 遺伝学 / ゲノム / 人類学 / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、NK細胞受容体NKG2DのリガンドであるULBP遺伝子群に着目し、遺伝子領域のゲノム多様性および遺伝子多型とHIV/AIDS感受性・SIV免疫応答性との関連、また、遺伝子多型と自己免疫疾患・慢性炎症性疾患との関連、さらにULBP遺伝子群の多型がNK受容体機能に及ぼす影響を明らかにすることで、NK細胞による免疫制御機構の維持とその破綻に関わる要因を解明し、それらの知見に基づく免疫応答機能制御法開発への糸口を得ることを目的とした。 ULBP領域とHIV/AIDSおよびSIV免疫応答との関連について、SIVワクチン接種個体におけるULBP領域のゲノム多様性を検討するため、旧世界ザルであるアカゲザルのULBP5遺伝子群の多様性を決定した。旧世界ザルではULBP5遺伝子の重複が知られているが、アカゲザルにおいても2種類のULBP5遺伝子(5.1、5.2)が存在し、それぞれ10種および11種のアリルの存在が明らかにされた。ULBP5.1においては第3エクソンの1塩基挿入によるフレームシフト型アリル1種が検出され、推定されるアミノ酸残基は99残基と通常分子の182残基より短いことから、今後NKG2Dとの結合能への影響を検討することとした。 一方、自己免疫疾患におけるULBP領域の関与を検討するため、炎症性腸疾患患者DNA(潰瘍性大腸炎109件、クローン病93件)について、ULBPと共にNKG2DのリガンドであるMICA分子の、各疾患への感受性・抵抗性とULBP領域ゲノム多様性との関連を検討した。MICA分子129番残基はNKG2D活性を制御する重要な結合部位であることが最近報告されたことから、アミノ酸を構成する非同義置換多型G/Aについて解析を行ったところ、潰瘍性大腸炎患者におけるG/G(Val/Val)の有意な増加(Pc>0.0028)とクローン病患者におけるG/A(Val/Met)の有意な減少(Pc>0.025)を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度 SIVワクチン接種個体におけるULBP領域のゲノム多様性の検討は順調に進んでいる。 炎症性腸疾患を対象とした関連解析では、潰瘍性大腸炎患者とクローン病患者のMICA129多型との間に異なる関連傾向を見出した。この傾向はこれまでの他の免疫関連遺伝子解析における結果と同様である。今後さらに解析患者数を増やし、関連を確認するとともに、病態との関連を検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
霊長類ULBP遺伝子群の進化学的検討は、ヒトにおけるULBP遺伝子群の構造と機能的意義に関する示唆を与えるため、これまでに解析されされたULBP遺伝子群多型についての情報を整理し,傾向を解析することが必要である。現在までのところ、旧世界ザルであるアカゲザルやカニクイザルにおいてはULBP遺伝子群は特徴的な進化がみられることから、これらの遺伝子群の構造と意義を解明するべく多様性情報の収集をおこなう。また、ULBPおよびMIC可溶性リガンド分子の多様性を検討する。
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Research Products
(3 results)