2016 Fiscal Year Research-status Report
HLA関連眼疾患におけるゲノム全域を対象とした遺伝子間相互作用の検討
Project/Area Number |
15K08331
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
安村 玲子 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (80534362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目黒 明 横浜市立大学, 医学研究科, 特任准教授 (60508802)
水木 信久 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90336579)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | ベーチェット病 / サルコイドーシス / HLA / 遺伝子間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベーチェット病およびサルコイドーシスは免疫系の異常が発症の要因となる疾患である。いずれの疾患においても、その免疫系の異常には何らかの遺伝要因が関与していることが示唆されており、HLA遺伝子が両疾患の有力な遺伝要因である。ベーチェット病ではHLA-B遺伝子が、サルコイドーシスではHLA-DRB1遺伝子が発症リスクと顕著に相関することが知られている。近年、HLA関連免疫疾患において、HLA遺伝子が他の遺伝子との相互作用により、疾患の発症リスクを有意に上昇させることが報告されている。したがって本研究では、ベーチェット病およびサルコイドーシスについて、ゲノム全域の遺伝子を対象に、HLA遺伝子と遺伝子間相互作用を示す遺伝子の網羅的なスクリーニングを行う。 平成27年度までに、日本人集団を対象としたベーチェット病およびサルコイドーシスのゲノムワイド関連解析(genome-wide association study:GWAS)データおよびHLAアリルデータを用いて、HLA遺伝要因と遺伝子間相互作用を有する遺伝子を網羅的にスクリーニングしている。 平成28年度は、平成27年度までに網羅的にスクリーニングした遺伝子について新たな患者・健常者集団を用いて再現性の検討(replication study)を実行し、ベーチェット病およびサルコイドーシスにおいてHLA遺伝要因と相互作用を示す遺伝子の候補を絞り込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ベーチェット病およびサルコイドーシスを対象に、すでに取得しているGWASデータを用いてHLA遺伝要因と遺伝子間相互作用を有する遺伝子のゲノムワイドなスクリーニングを行う。 現在までに、各々の疾患のGWASデータを用いて網羅的に検出されたHLA遺伝要因と遺伝子間相互作用を有する遺伝子について、新たな集団を対象としたreplication studyを完了している。 以上より、本研究は当初の研究計画とおり、「おおむね順調に進展している。」といえる。今後引き続き研究を進めることで、当初の目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までに絞り込んだHLA遺伝要因と相互作用を示す遺伝子を対象に以下の機能解析を実行し、特定した遺伝子が関与する疾患発症のメカニズムの解明を行う。 1) 特定した遺伝子内のSNPの遺伝子型よる遺伝子発現量の相違を解析 本解析ではリアルタイムRT-PCR法を用いて遺伝子の発現量を定量する。RT-PCR法は微量の試料からの定量に適しており、遺伝子変異の有無における遺伝子発現量の比較、遺伝子発現調節機構の解析を精度良く行うことが可能である。 2) 特定した遺伝子の立体構造解析 アミノ酸置換を伴う遺伝子変異(non-synonymous SNP)は発現するタンパク質の機能に直接的に影響を与え、結果として疾患の発症を引き起こす可能性がある。したがって本解析では、特定したnon-synonymous SNPがタンパク質の機能にどのような影響を与えるかを立体構造解析により評価する。具体的には、アミノ酸置換前後のタンパク質の構造および分子動力の比較を行うとともに、他のタンパク分子との相互作用・ドッキング作用の変動を評価する。
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