2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K08335
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
赤木 究 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), その他部局等, その他 (30244114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 美穂 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), その他部局等, 研究員 (60347359)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | RNAシークエンス / がん関連遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦における大腸癌発生率は年々増加傾向にあり、現在その罹患率は全がん中2位と胃癌に次いで多い。その発症要因は10%程度がなんらかの遺伝的要因が関与していると推計され、その代表的な疾患としてリンチ症候群があるが、未だ原因遺伝子の同定に至っていない遺伝性大腸癌の存在が推測される。今回、私たちは遺伝性の可能性が高いとされる若年発症の大腸癌のうち、臨床所見、家族歴、既知の遺伝学的検査からは診断できていないケースについて全トランスクリプト―ム解析を行い、若年発症大腸がんの分子レベルでの特徴、及び新たな原因遺伝子の同定を試みた。本年度は40歳以下で発症した非ポリポーシス大腸癌(MSS:マイクロサテライト安定)症例のうち、10症例を選択し、全トランスクリプト―ム解析を行い、遺伝子発現の特徴、RNAに見られる変異解析を行った。 その結果、各症例から約17,000遺伝子の発現データと約50,000種類の変異情報が得られた。発現解析からは、zinc finger protein familyが高発現している傾向がみられ、複数の融合遺伝子が認められた。変異解析では、filteringにより、各症例約3,000か所にアミノ酸の変化を伴う変異を検出した。若年発症症例におけるがん関連遺伝子に着目して変異の傾向を調べた結果、TP53に変異頻度が高かった。また、遺伝性を示唆する変異としてDyskeratosis congenitaの原因遺伝子であるDKC1及びJuvenile polyposis syndromeの原因遺伝子であるBMPR1Aの変異が検出され、いずれもgermlineで同一の変異が確定された。 今回の解析結果では、若年発症大腸癌に対し、RNAシークエンスを実施することで、有用な情報を多く得られる可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
若年発症大腸癌症例10例を解析し、原因の候補遺伝子を2例で同定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回見つけた候補遺伝子が、真の原因遺伝子となっているか、検証する。 さらに、10例の若年発症大腸癌症例のRNAシークエンスを行い、それらの原因遺伝子の探索を行う。
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Causes of Carryover |
初年度に10症例の解析のみに終わったため、さらに10症例の解析に使用するための試薬関係の予算が繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年目に10症例のRNAシークエンスを行い、解析する予定である
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