2015 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜癌局所におけるストレスホルモンの動態と癌への作用
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15K08338
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三木 康宏 東北大学, 災害科学国際研究所, 講師 (50451521)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子宮内膜癌 / コルチゾール / アロマターゼ / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜癌(40例)を対象に癌組織中のコルチゾール濃度測定及びアロマターゼ活性測定を行った。ヒト組織を使用するに際しては、研究プロトコールについて東北大学医学部倫理委員会の承認を得た。コルチゾール濃度測定はliquid chromatography-tandem mass spectrometry(LC-MS/MS)を用いた。また、アロマターゼ活性測定については13C標識したアンドロゲン(androstenedione及びtestosterone)を添加し、13C標識されたエストロゲン(estrone及びestradiol)をそれぞれ測定LC-MS/MSにて測定した。結果、ストレスホルモであるコルチゾールは組織中のアロマターゼ活性と有意な正相関を示した。一方、別途対照として行ったアンドロゲン合成酵素の活性(5alpha-reductase, 17beta-haydoxysteroid dehydrogenase 5)については、有意な関係は得られなかった。また、コラゲナーゼ法にて子宮内膜癌組織から分離した初代子宮内膜癌間質細胞(2株)を用い、コルチゾール添加による遺伝子レベル(定量的PCR)及び活性レベル(アンドロゲン添加/エストロゲン測定:LC-MS/MS)でのアロマターゼが誘導を明らかにした。アロマターゼは女性ホルモンであるエストロゲンを体内で合成する重要な酵素として知られており、ストレスによって分泌されるコルチゾールが、生体内の女性ホルモンの環境を攪乱するのではと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに子宮内膜癌組織中のストレスホルモン濃度を評価することができた。さらに、当初の計画を上回るアロマターゼとの関連にまで言及することができた。このアロマターゼとの関連については新規知見であり、ストレスと女性ホルモンのバランスの不調に関する科学データを示すことができた。一方でコルチゾール代謝酵素のエピジェネティクスに関するデータが次年度へ持ち越しとなったが、前述の成果を含めて総合的に「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りに子宮内膜癌培養細胞を用いて、コルチゾールの癌細胞への影響を検討する。その検討ではアロマターゼとの関連、更には細胞増殖、浸潤の観点からのデータを採取し、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行う。さらに27年度から持ち越したコルチゾール代謝酵素のエピジェネティクス解析を実施する。
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Causes of Carryover |
コルチゾール代謝酵素のエピジェネティクスについて、サンプルの確保と調整に時間を要してしまったため、その解析に関わる費用を次年度使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コルチゾール代謝酵素のエピジェネティクスについて、27年度末にサンプルの確保と調整を済ませることができたため、28年度早期にその解析を執行する。
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