2016 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌進展および去勢抵抗性に対するHMGB2の役割解明
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15K08352
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 周五 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (60363933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 慎哉 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (30464564) [Withdrawn]
内木 拓 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (50551272)
高橋 智 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (60254281)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Prostate cancer / HMGB2 / progression / cell roliferation / androgen receptor |
Outline of Annual Research Achievements |
High mobility group box 2(HMGB2)は転写制御に関わるタンパクで、我々はラット肝発がん及びヒト肝細胞癌において、高発現を示すことを報告した。加えて、ラットに前立腺発癌物質を投与した際に、HMGB2は前立腺組織内で高発現を認める遺伝子として同定された。そこでヒト前立腺癌における進展及び去勢抵抗性に対するHMGB2の役割を検討した。 内分泌治療後に全摘出術を行ったヒト前立腺癌症例の組織を用いてHMGB2の免疫組織化学染色を行った結果、治療により変性を認めた前立腺癌病変は、未治療の前立腺全摘術で採取された前立腺癌病変よりもHMGB2陽性率が低下していたが、有意差は認められなかった。また、HMGB2陽性率と治療効果判定Gradeは反比例しており、内分泌治療によるHMGB2発現低下を確認出来た。一方で、治療後前立腺癌病変におけるHMGB2と細胞増殖の指標であるKi67の陽性率は、正の相関傾向を認めるものの有意差はなかった。以上から、内分泌治療によりHMGB2は発現低下傾向を認め、その確認にはより多くの症例を用いて検討する必要がある。 ヒト前立腺癌細胞株PC3を用いたin vitro実験においては、HMGB2 siRNAによる細胞増殖低下を確認した。PC3細胞は、アンドロゲンレセプター陰性で去勢抵抗性前立腺癌細胞株であり、HMGB2はアンドロゲンレセプターを介さない、細胞増殖に関わる機序の存在が示された。これは27年度示したアンドロゲン依存性前立腺癌細胞株LNCaPと異なる機序である可能性もあり、今後の検討課題と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内分泌治療によるHMGB2発現の影響や、勢抵抗性前立腺癌におけるHMGB2の増殖に対する役割を確認出来た。一方で、新たな課題も出現し、より詳細な機序解析を行う必要性が出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
27~28年度の結果から、アンドロゲンレセプターの有無にかかわらず、HMGB2は細胞増殖に関与することが明らかになり、HMGB2の増殖への関与はアンドロゲンレセプターとは別の可能性があり、詳細な検討を行う予定である。また、引き続き、アンドロゲンレセプターとHMGB2の関与を詳細に検討する予定である。
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