2015 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉転換を起こした肺腺癌と上皮形質を保持した肺腺癌の統合的解析
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15K08364
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐久間 裕司 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10364514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 美樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10530454)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肺腺癌 / EGFR遺伝子変異 / 分子標的治療 / 上皮間葉移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人に生じる肺腺癌の約半数には受容体型チロシンキナーゼEGFRをコードするEGFR遺伝子に機能獲得性突然変異が認められる。EGFR遺伝子変異陽性(EGFR mutant)肺腺癌は恒常的に活性化したEGFR signaling依存性に増殖していると考えられる。実際、その多くはgefitinib等のEGFR tyrosine kinase inhibitors (TKIs) に高感受性を示し一旦は縮小するが、その治療効果は通常1年前後しか持続せず、最終的にはほぼ全例が薬剤耐性を獲得し再増大することが知られている。我々は以前の検討から、EGFR変異陽性でありながらEGFR非依存性に生存可能な細胞の存在がEGFR TKI耐性の根本的な原因の一つと考えている。EGFR mutant肺腺癌細胞株の一つH1975 cellsにEGFR TKI WZ4002を長期的に曝露させ、耐性株 WZ4002 Resistant (WR) cellを複数クローニングした。うちH1975 WR7 cellsは親株(治療前の細胞)と比較すると上皮間葉転換 (epithelial to mesenchymal transition, EMT)を起こし、癌幹細胞マーカーCD44を発現していた。さらにWR7 cellsにはautophagyが高いレベルで生じており、これに依存して生存するとともに異性化酵素Pin1依存性に生存していることを見出した。Pin1はTKI治療前のEGFR-mutant肺腺癌組織では発現していなかったものの、TKI耐性を獲得後のEMTを生じた癌細胞には発現していることも確認しており、EGFR TKI耐性に関与する新規分子と推察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EGFR TKI抵抗性に関与しうる新規分子の同定に至っており、概ね順調な進展と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もEMTを生じたEGFR-mutant肺腺癌細胞を治療しうる分子の同定、抗体開発等を進める。
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Causes of Carryover |
平成27年度残額で購入可能かつ喫緊に要する試薬等がなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の研究費と合算し、研究遂行上、必要な試薬等を適切に購入する。
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