2016 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜癌、内膜増殖症および類縁疾患の核形状・核クロマチン分布の定量的解析
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15K08378
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加来 恒壽 九州大学, 医学研究院, 教授 (60185717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大喜 雅文 九州大学, 医学研究院, 教授 (10160441)
園田 顕三 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30294929)
杉島 節夫 九州大学, 医学研究院, 教授 (50380382)
渡邊 壽美子 九州大学, 医学研究院, 助教 (90404087)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子宮内膜癌 / 子宮内膜扁平上皮化生 / 子宮内膜増殖症 / 子宮内膜化生 / 核クロマチン分布 / 核中心点間最短距離 / 不規則重積性 / 二核細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜癌における形態的特徴を組織標本及び細胞診標本について詳細に検討した。特に子宮内膜癌にしばしば見られる扁平上皮への変化について検討を行った。まずは扁平上皮への変化の頻度、扁平上皮化生の有無について検討し、その有無による臨床病理学的特徴について検討した。細胞診での扁平上皮への変化についても核異型の有無、程度、出現頻度等が検討事項である。子宮内膜癌103例を対象にした。扁平上皮化生は58%で出現し、出現群と非出現群では臨床病理学的に差異は認めなかったが、細胞診で陽性の60例の中で70%の症例で組織診と細胞診双方で扁平上皮化生が認められたが異型は見られなかった。残りの30%の症例では扁平上皮化生が認められたが異型は見られた。扁平上皮化生に異型は見られなかった症例は異型の見られた症例より高分化な症例であった。また脈管侵襲は扁平上皮化生に異型の見られた症例が異型は見られなかった症例より高度であった(Toomine Y, Watanabe S, Sonoda K, Kaku T, et al. Diagnostic Cytopathlogy 2016;44:187-194)。 基盤的研究として培養細胞で二核細胞は、正常でも出現するが、癌ではより多く出現することが報告されている。そこで、二核細胞形成のメカニズムや、その性質についてHela cellを用いて研究し、出現頻度、二核細胞の形成のメカニズムを検討し、0%培地でより多くの二核細胞が出現すること。improvement examinations法で約2倍の核分裂が行われていることが明らかとなり、starvationがHela cellの二核細胞形成を誘導していることを報告した(Nishimura K, Watanabe S, Kaku T. Cytotechnology 2016;68(4); 1123-1130)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮内膜癌、内膜増殖症および内膜化生などの類縁病変の病理組織標本の再検鏡を行い。病理学的所見の検討を行った。内膜細胞診結果と病理組織結果を時系列のグラフにまとめ,転帰との関連性を調べている。 現時点では子宮内膜癌と並存する内膜上皮化生の中で扁平上皮化生に注目して症例を抽出してそのパパニコロウ染色細胞標本の細胞学的所見と組織学的所見及び臨床事項を検討し、その成果を誌上に発表したが、細胞異型のパラメータであるクロマチンの増量、核小体数や構造異型のパラメータである極性の乱れなどの細胞質・核の形態的特徴について検討を行っている。その対照とする正常例も同様に細胞質・核の形態的特徴について詳細に検討も行いたい。これらの解析には細胞診標本をデジタルカメラで撮影後、我々が既に開発している核を自動的に抽出する画像ソフトを使用して、対象の核を抽出した。核クロマチン分布について詳細な情報を得るために、NIHで開発されたオープンソースの画像処理ソフトウェアであるImageJを使用して細胞像をデジタル化し、核クロマチン分布について核中心から核辺縁に向かうピクセル値分布を計測し、ピクセル値分布の傾きを算出した。正常内膜細胞、内膜化生細胞、子宮内膜増殖症、子宮内膜癌で比較検討を行っており、更に症例を増やして検討する計画である。また核中心点問距離の分布は"極性の乱れ"を反映する1つのfactorと考えられるため核中心点間最短距離の測定や共焦点レーザー顕微鏡による観察も進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮内膜癌における形態的特徴を組織標本及び細胞診標本について特に子宮内膜癌にしばしば見られる各種化生について検討を行う。既に解析中の扁平上皮化生に加えて子宮内膜癌の粘液性化生、卵管上皮性化生、淡明細胞化生、ホブネイル化生、好酸性化生等の化生性変化の細胞像、出現頻度などについても検討し、その有無による臨床病理学的特徴について検討する。 細胞診での扁平上皮への変化についても、出現頻度等が検討事項である。内膜化生細胞、子宮内膜増殖症、子宮内膜癌のクロマチン分布の解析クロマチンの増量、不規則重積性(極性の乱れ)、核小体数、核の形状などの細胞質・核の形態的特徴について更に症例数を増やして検討を続ける。内膜細胞診標本に出現した腺系細胞のclusterを撮影し,NIH imageにより核中心点間距離を計測する。また,Propidiumodide (PI)染色が可能であった標本については共焦点レーザー顕微鏡(OLYMPUS FLOWVIEW)を用いて三次元観察を行う。核クロチン分布パターンの差異とその生物学的意義を解析することに、核クロチン分布の意味を明らかにする。また細胞質の色調の変化をHSB色空間を用いた新たな画像解析プログラムの開発に取り組み、細胞質の色調の変化の意義についても解析する。これらの成果は学会、学会誌に発表する。
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Causes of Carryover |
免疫染色等の試薬等の購入を今年度に予定していたが、これらの染色等の一部を次年度に行うことに変更したため試薬等の購入を次年度に繰り越しました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
対象症例の免疫染色等に使用する試薬を購入し、染色を行い対象症例で染色性を評価する。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] 卵巣明細胞癌2016
Author(s)
加来 恒壽
Organizer
第13回日本婦人科がん会議
Place of Presentation
三重県志摩市志摩観光ホテル
Year and Date
2016-10-01 – 2016-10-01
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