2016 Fiscal Year Research-status Report
尿細胞診による腎疾患の非侵襲性検査法の確立-腎生検の頻度減少のために-
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15K08382
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大崎 博之 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (80438291)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | podocyte / ボウマン嚢上皮細胞 / マクロファージ / WT1 / vimentin / CD68 / PODXL |
Outline of Annual Research Achievements |
従来から,尿中に出現する糸球体上皮細胞(ポドサイト,Pod)と各種腎疾患との関連が報告されている.そこで我々は,国際的標準法に成り得ること,一般病院の日常検査として実施可能であることを念頭に尿中Podの検出方法を考案した.具体的にはLiquid-based cytology のBD SurePath法で作製した尿細胞診標本にPodのマーカーであるWT-1抗体を用いた酵素抗体法(免疫染色)である.我々の考案した方法を用いて検討を行った結果,各種腎疾患の50%(33/66)にWT-1陽性細胞の出現を認めたが,下部尿路疾患(0/45)と健常者(0/30)にはWT-1陽性細胞(Pod)の出現を認めなかった(P<0.001).また,尿中WT-1陽性細胞の出現数は,尿蛋白など各種腎疾患マーカーの検査結果と相関しなかったため,尿中WT-1陽性細胞は独立した尿中バイオマーカーとなる可能性が示された. 腎疾患の際にはマクロファージ(Mφ)が尿中に増加するという報告があること,腎疾患の進行に伴い尿細管障害も出現することから,今回はMφのマーカーであるCD68抗体と,反応性尿細管上皮細胞のマーカーとなるVimentin(Vim)抗体も加えた検討を行う. 現時点では,約80症例の尿細胞診標本を作製しており,これら標本に各種抗体(WT1,vimentin,CD68)を用いた免疫染色を実施した.今後は症例ごとに上記3種類の抗体の陽性細胞数と,①病理組織診断名,②半月体形成,③血性クレアチニンなどの各種腎障害マーカーを対比させ関係性についての検討を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに標本作製方法や免疫染色などの技術面に関しては確立していること,症例に関しても当初予想した症例が集まっていることこら,検討は問題なく進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も予定通り検討を実施するが,ポドサイトマーカーとされるPODXL抗体を追加することで診断精度の向上が期待できるため,PODXL抗体の免疫染色を追加する予定である.さらに,尿細胞診の免疫細胞化学の結果と腎生検の免疫組織化学の結果の対比についても検討予定である.
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Causes of Carryover |
28年度の2次抗体の使用量が想定よりも少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度は最終年度であるため、2次抗体の使用量も増加すると考えられる。
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Research Products
(3 results)