2015 Fiscal Year Research-status Report
癌間質のエピジェネティック変化に着目した癌悪性化機構の解明と診断・治療への応用
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15K08383
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
幅野 渉 岩手医科大学, 薬学部, 准教授 (50332979)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 癌間質 / 腺管分離法 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の悪性化には、癌細胞自身の変異の蓄積のみならず、癌細胞をとりまく微小環境、すなわち間質細胞の変化によっても影響される。間質が癌悪性化に寄与する分子機構は多様であるため、正常組織の間質と癌組織の間質との間の生物学的な差異を包括的かつ系統的に把握することが重要となる。本研究では、癌間質の生物学的役割をエピジェネティクス機構に着目し解明する。すなわち、腺管分離法を用いて上皮腺管と間質を分離・回収し、正常組織の間質と癌組織の間質との間でDNAメチル化状態の異なる遺伝子を網羅解析により探索する。癌間質のDNAメチル化プロファイルの変化を明らかにすることで、癌の発育・進展の新しい分子機構を発見するとともに、癌の生物学的分類や浸潤・転移などの予後の予測、さらには抗癌剤治療に対する感受性の予測への応用を試みる。 平成27年度は、1)癌腺管とその間質、正常腺管とその間質、の4者を同一症例より分離・回収できる、2)癌間質と癌腺管を識別するための遺伝子変異(TP53、APC遺伝子など)を有する、の2条件を満たす2症例の大腸癌手術摘出組織を選出した。これらの組織のDNAを対象に、DNAメチル化の網羅解析(Infinium MethylationEPIC、Illumina社)を実施し、合計85万箇所以上のDNAメチル化のプロファイルを得た。現在、データの解析を行い、分離された各組織のを妥当性を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAメチル化網羅解析は、450Kから850Kにバージョンアップされた最新チップに変更した(価格は若干高くなった)。癌間質組織の分離が予想以上に時間を要したこと、実体顕微鏡が故障したため、平成27年度は2症例の解析に留まった。分離組織の選出は次年度も継続して行うこととし、そのための費用を一部、繰り越した。
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Strategy for Future Research Activity |
網羅解析のデータをもとに、正常間質と癌間質でDNAメチル化状態が異なる遺伝子を選出する。これらの遺伝子の発現変動、機能をヒト大腸癌培養細胞を用いて検証する。また、組織切片を対象に、間質における発現の変動を確認する。
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Causes of Carryover |
当初計画していた分離組織の採取が予想した以上に時間を要し、また実体顕微鏡が故障のため一時期、使用できなかった([現在までの到達度]に記載)。一部は次年度に継続して行う予定であるため、その解析費用として次年度に繰越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画していた次年度分と合わせて、DNAメチル化網羅解析に使用する。
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Research Products
(4 results)