2015 Fiscal Year Research-status Report
胃消化管間質腫瘍の亜型と悪性度の解明－非コードRNAからのアプローチ
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15K08390
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| Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
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Principal Investigator |
高澤 豊 公益財団法人がん研究会, その他部局等, 研究員 (50313151)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 胃消化管間質腫瘍 / 非コードRNA |
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| Outline of Annual Research Achievements |
胃消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor : GIST)を非コードRNA発現の観点から、発生臓器間で、および、低悪性度と高悪性度GIST間で比較することによって、その発生・由来および生物学的性質に迫ることを目的とする研究である。本年度は２つのサブテーマについて検討を行った。
１、c-kit遺伝子およびPDGFRA遺伝子変異の解析：各発生臓器（胃、小腸、直腸、食道、結腸、消化管外）、低悪性度および高悪性度、若年者発症など58例について変異解析を行なった。消化管外発生、若年者、および高悪性度のGISTではこれらの遺伝子変異のない頻度が高いことを確認した。変異のない症例については、c-kit遺伝子およびPDGFRA遺伝子以外の遺伝子変異を追加検討している。
２、microRNA発現の網羅的解析：凍結検体にてmicroRNAのプロファイリングを行った。microRNAの発現と遺伝子変異には相関がないことが確認された。c-kit exon11に変異のある胃原発のGISTにて、低悪性度群と高悪性度群の比較を行ない、各群で発現に差のあるmicroRNAを同定した。また、microRNA発現の発生臓器間での比較では、症例数が少なく有意な結果は得られなかった。凍結検体とホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体から抽出したRNAのプロファイリング比較により、microRNAの発現に相関が見られることを確認したので、臓器間比較で必要な症例数の検討をFFPE検体を用いて現在進めている。また、microRNA発現の網羅的解析で用いた凍結検体で、長鎖非コードRNA発現の網羅的解析を進めているが、特に高悪性度GISTのバイオマーカーの発見につなげたい。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、以下の点で着実に研究を進めた。１、c-kit遺伝子およびPDGFRA遺伝子変異：「消化管外発生、若年者、および高悪性度のGISTで変異のない頻度が高い」ことを確認したことは、GISTがヘテロな疾患群であることを示唆する結果であり、今後の研究を進めるにあたり重要な結果である。２、microRNA発現の網羅的解析：「同一臓器(胃)、同一遺伝子変異(c-kit exon11)を有するGISTで低悪性度群、高悪性度群で異なるmicroRNAプロファイルが確認されたことは、GISTの腫瘍発生および進展の視点からは非常に重要な結果であり、今後microRNAをはじめとするゲノム変化以外の機構を解明することが必要である。現在、長鎖非コードRNAの発現の関与についても検討を進めている。｢GISTの発生臓器間の違い｣を解析するためには、FFPE検体を用いてさらに多くの症例で検討していくことが必要である。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究をもとに、十分な症例数で、以下の課題を平行して進める。
１、c-kit, PDGFRA遺伝子変異の解析：変異のない症例に関しては、SDH、NRAS、HRAS、BRAFなどの変異検索を追加する。
２、非コードRNAの発現の網羅的解析：microRNAの他、長鎖非コードRNAの検討を進める。また、凍結検体を用いた検討に加え、FFPE検体を用いて多数症例について検討する。
３、亜分類と悪性度評価に特徴的な非コードRNA発現プロファイルの同定:統計的手法を用いて有意な発現上昇や低下が見られる非コードRNAの抽出を行い、その役割、機能をさらに検討する。
４、患者血清中およびエクソソーム中の非コードRNAの解析によるバイオマーカー検索：20症例を目標として、血清およびエクソソーム中の非コードRNAプロファイルを比較検討する。
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| Causes of Carryover |
物品費：新鮮凍結検体やFFPE検体からDNAやRNAを抽出するための核酸抽出キット、試薬、実験機器は、いずれも所属施設および先行研究で使っていたものを使用し、今年度は新たに購入しなかった。c-kit遺伝子とPDGFRA遺伝子の変異解析のための試薬、RT-PCR用プローブ等、および、・非コードRNA発現の網羅的解析に用いるmicroarrayキットについても同様である。
人件費：症例数が多くなかったこともあり、実験は研究者本人および所属施設の実験助手が行い、本研究のために実験助手を採用することはなかった。また、データ整理についても同様で、研究者本人が行った。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費：新鮮凍結検体やFFPE検体からDNAやRNAを抽出するための核酸抽出キット、試薬、実験機器、c-kit遺伝子とPDGFRA遺伝子の変異解析のための試薬、RT-PCR用プローブ、非コードRNA発現の網羅的解析に用いるmicroarrayキットを随時購入する予定である。また、当初研究計画になかったc-kit遺伝子とPDGFRA遺伝子以外の変異解析のためのRT-PCR用プローブも新たに購入する予定である。
人件費：c-kit遺伝子とPDGFRA遺伝子以外の変異解析が追加され、FFPE検体を用いた検索が増えるので、実験助手、データ整理のための助手を採用する予定である。
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