2015 Fiscal Year Research-status Report
筋肉細胞の細胞-細胞外基質間相互作用を利用した新しい重症心不全治療法の開発
Project/Area Number |
15K08401
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河口 直正 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70224748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 吉之輔 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10362683)
内仲 彩子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40746921)
松浦 成昭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190402)
森 誠司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90467506)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞-細胞外基質間接着分子のα-ディストログリカンとの結合部位であるラミニン211のα2鎖のラミニンGモジュール(以下LGとする)をラット皮膚線維芽細胞に分泌型シグナルを有するベクターを用いて遺伝子導入しLGを恒常的に分泌するLG分泌線維芽細胞を作製した。作製したLG分泌線維芽細胞を用いて以下の検討を行った。 1)作製したLG分泌線維芽細胞の培養上清を回収し、抗LG抗体を用いてウエスタンブロットを行った。その結果、LGに対する特異的バンドを認め、遺伝子導入したLGがLG分泌線維芽細胞より分泌されていることを確認した。 2)作製したLG分泌線維芽細胞より分泌されたLGとα-ディストログリカンとの結合を確認するために、骨格筋細胞株C2C12細胞からα-ディストログリカンを精製し、LG分泌線維芽細胞の培養上清とインキュベートし、ウエスタンブロット法を行った。その結果、分泌されたLGとα-ディストログリカンが結合することが示された。 3)作製したLG分泌線維芽細胞より分泌されたLGと筋肉細胞との結合をin vitroにて検討を行た。ラット前脛骨筋より筋芽細胞、成獣ラット心臓より心筋細胞を各々単離し、LGに対する接着実験を行た。筋芽細胞および単離心筋細胞共に分泌されたLGへの接着が有意に高度であった。 以上より遺伝子導入により作製したLG分泌線維芽細胞から恒常的に分泌されたラミニン211のα2鎖ラミニンGモジュールは細胞-細胞外基質間接着分子のα-ディストログリカンと結合することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、α-ディストログリカンとの結合部位であるラミニンα2鎖のラミニンGモジュール(LG)を恒常的に分泌する線維芽細胞を作製した。このLG分泌線維芽細胞から分泌されるLGのα-ディストログリカンとの結合と筋芽細胞および成獣心筋細胞の分泌されるLGに対する接着について確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
確立したラミニン211のα2鎖ラミニンGモジュール(LG)を恒常的に分泌するLG分泌線維芽細胞と筋芽細胞を同時に虚血性心筋症モデルラット心に移植し筋芽細胞の生着率を以下の方法で検討する。 1)LG分泌線維芽細胞と筋芽細胞(雄性ラットから単離)をそれぞれ温度応答性培養皿によりシート化し、雌性ラットを用いて作製した虚血性心筋症モデルラット心に同時移植する。検討は、a) LG分泌線維芽細胞シートと筋芽細胞シート移植群b)線維芽細胞(mock)シートと筋芽細胞シート移植群c)筋芽細胞シート移植群の3群で行う。 2)移植1,2,4週後の筋芽細胞の生着率をY染色体に存在するSRY遺伝子を定量PCRで定量し筋芽細胞の生着率を検討する。 3)骨格筋細胞に特異的に発現している筋原線維構成タンパク質のネブリンをウエスタンブロット、免疫組織化学的手法により評価・定量し筋芽細胞の生着率を検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた試薬(抗体)を購入する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した経費は、試薬の購入に充てる予定。
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