2017 Fiscal Year Research-status Report
テロメア長を調節する分子機構の解明:iPS化のリプログラム現象を解析に活用して
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15K08414
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
石川 直 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30184485)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | テロメア / リプログラミング / iPS細胞 / 染色体特異性 / 細胞老化 / ヒト線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
induced pluripotent stem cell (iPSC)は幹細胞としての性格を持ち、その遺伝子情報のリプログラミング過程において、テロメアが伸長することがよく知られている。しかし、その動態については、特に染色体別の解析は不明の点が多く残されている。 iPSCのテロメア長には細胞間(inter-cell)および同一細胞内の染色体間(intra-cell)でも大きな幅があるものの、iPS化に伴い由来細胞と比し平均値(中央値)は有意に増大し、リプログラムによってテロメア長伸長が起こることが示された。これまでのところ、検討したiPSC株が限られていることから、株間で絶対普遍的な染色体特異性ルールは確定できなかったものの、カリオタイピングの精度を上げることにより、以下の新たな現象が明らかにされた。 1)リプログラムによるテロメア長伸長の特異性について;① iPSCテロメア値は新生児値に相当すること、②細胞老化期に高度の短縮を示すテロメアがリプログラム時に平均以上に伸長すること(テロメア長補正機構を示唆)。2)大多数の細胞株で特徴的染色体所見として; ①老化期に著明なテロメア短縮を示す(e.g. 9p, 16p, 22q, Yq)、②老化期に著明に長いテロメアを持つ(e.g. 4q, 14p, Xp, Yp)、③ iPSCで著明に短いテロメアを持つ(e.g. 2p, 3q, Yq)、④ iPSCで著明に長いテロメアを持つ(e.g. 1p, 14p, 14q)、⑤ iPSCと老化期の差異が極めて小さい(あるいは逆転)(e.g. 2p, 3p, 8q, 10q, Yp)、が認められた。3)老化期に好発するTASは成人由来細胞では胎児由来細胞に比し少なかった。以上の結果から、テロメア長はTERT活性亢進のみならずトリミング活性により染色体毎に巧妙に調節されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分裂中期(metaphase spread)像の核型を確定するために、外部の協力研究者の助力を得なければならなかった。 組織改編のため、およびこれまでの共同研究者が非常勤職員となったこと、また協力研究者の研究環境が変わったことにより実験実施効率の悪化があった。現在、状況は改善されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
京都大学で樹立されたiPS細胞株を、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の細胞バンクから入手し、親株との間でテロメア長の差異について解析を進めてきた。今年度も引き続き、これらを用い私達の仮説を解明するよう解析を行う。 上記の新たに明らかにした事実(研究実績の概要参照)に関して、解析対象の細胞株を増やし、補強し、論文作成し国際誌へ投稿する。
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Causes of Carryover |
理由)協力研究者が退職し、研究遅延が生じた。 使用計画)①遅延した計画を実施する。②協力研究者への謝金。
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Research Products
(8 results)