2015 Fiscal Year Research-status Report
肥満治療を目指した新規代謝調節性サイトカインの解析
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15K08419
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西條 栄子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 技術専門職員 (60376647)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
食生活の欧米化による摂取カロリーの増加や、過剰なストレスにともなって、現代人の肥満は増加している。肥満は「万病の元」と言われる通り、糖尿病や高脂血症、動脈硬化などの生活習慣病の主要な原因であるため、肥満の予防および治療は重要な課題となっている。申請者らは、拒食などの副作用を引き起こさずに、体重および内臓脂肪の減少をもたらし、さらにインスリン抵抗性を改善する新規生理活性物質として、IL-31 を見出した。本研究では、IL-31 のin vivo での代謝調節機能に焦点を当て、その作用機序を詳細に明らかにする事を通じて、肥満および肥満を背景とする疾病の予防および治療に繋がる知見を得ることを目的として研究計画を遂行している。今年度は、IL-31が白色脂肪組織の褐色化に寄与するかどうかを調べるため、IL-31投与DIOマウスの鼠蹊部脂肪組織をサンプリングし、褐色化の有無を検討した。その結果、血中カテコールアミン濃度の増加にもかかわらず、白色脂肪の褐色化はほとんど起きていなかった。一方、白色化の進んだDIOマウスの褐色脂肪組織の褐色化は高度に進んでいた。また、IL-31受容体の発現細胞に関して、別のグループにより、DRGの中でも感覚神経に高発現していることが報告された。今後は、DIOマウスの褐色脂肪組織の褐色化に対する神経支配を明らかにするため、denarvationなどの手技を使用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL-31投与による代謝の変化は、当初の想定以外のメカニズムで起きていることが明らかになりつつある。あと2年あれば、十分に解析が完了すると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
褐色脂肪組織そのものを変化させて代謝を調節するサイトカインの存在は今まで知られていない。IL-31の作用点を明らかにし、報告する予定である。
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Causes of Carryover |
IL-31受容体の発現細胞を同定し、解析する予定であったが、別のグループからDRGの中の感覚ニューロンに発現しているとの報告がなされたため、同定実験が不要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していなかったdenarvationの実験を新たに行う必要が生じたため、必要な試薬・器具の購入や、DIOマウスの購入に使用する。
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