2017 Fiscal Year Research-status Report
コドン置換TALENライブラリーを応用した非コード長鎖RNAの生理的意義の解明
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15K08421
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
千葉 朋希 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00645830)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非コードRNA / 炎症性サイトカイン / 炎症性腸炎 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
新たに同定した長鎖非コードRNAが炎症性サイトカインであるIL-6やTNFα、GM-CSFなどの産生に極めて重要であることを示してきた。また、このメカニズムとして転写因子NF-kBのプロモーター領域への動員およびそれに続くRNAポリメラーゼIIの動員の低下による転写レベルにおける制御であることを明らかにしてきた。本研究ではこの長鎖非コードRNAをゲノム編集技術を用いて遺伝子改変マウス(ノックアウトマウス)を作製し、個体レベルにおける炎症応答への寄与を明らかにすることを目的とした。これまでにゲノム編集技術を用いて、ノックアウトマウスの作製に成功し、このノックアウトマウスはLPS投与によるエンドトキシンショックに対して抵抗性を示し、全身性の炎症応答において重要な非コードRNAであることが示唆された。一方で硫酸デキストランナトリウム(DSS)誘導性大腸炎において野生型マウスに比べて、ノックアウトマウスは感受性を示し、体重減少とともに早期に死亡した。腸管固有層のCD11b陽性マクロファージを野生型およびノックアウトマウスより単離し、炎症性サイトカインの発現を検討したところ、CD11b陽性細胞でIL-6やIL12p40、GM-CSFの発現が顕著に低下していた。これらのサイトカインは炎症応答を惹起するとともに腸管上皮細胞の恒常性維持において重要であることが知られている。以上のことから、長鎖非コードRNAが腸管においては抗炎症性に作用し、腸管の恒常性維持に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りにゲノム編集技術を用いて長鎖非コードRNAをポリAシグナル配列をノックインすることでノックアウトすることに成功した。ノックアウトマウスより単離したマクロファージ細胞はLPS刺激により誘導される長鎖非コードRNAの発現が消失していた。ノックアウトマウスはLPS投与によるエンドトキシンショックに対して抵抗性を示し、全身性の炎症応答において重要な非コードRNAであることが示唆された。一方で硫酸デキストランナトリウム(Dextran Sodium Sulfate、DSS)誘導性大腸炎において、ノックアウトマウスは高い感受性を示し、体重減少とともに早期に死亡した。In vitroにおけるLPS刺激に対するIL-6などの産生低下の知見と一致して、腸管固有層のCD11b陽性マクロファージにおいて、IL-6などの炎症性サイトカインの発現が低下していた。これらのサイトカインは腸管上皮細胞の恒常性維持において重要であることが知られていることから、長鎖非コードRNAが腸管においては抗炎症性に作用し、腸管の恒常性維持に重要であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果において新規に同定した長鎖非コードRNAが全身性の炎症応答においては炎症の誘導に重要であることを明らかにした。一方で、硫酸デキストランナトリウム(Dextran Sodium Sulfate、DSS)誘導性腸炎モデルにおいて、腸管において誘導された炎症性サイトカインが腸管にの恒常性維持に重要であることが示唆される。腸管において固有層に常在するマクロファージまたは樹状細胞が共生細菌に由来する分子をパターン認識分子を介して認識することで産生されるサイトカインやインターフェロンが腸管の恒常性維持に重要であることが知られていることから、長鎖非コードRNAの発現を抗生物質投与による共生細菌の除去を行い検討するとともに、DSS誘導性腸炎モデルにおいて、病態形成時における長鎖非コードRNAの発現様式やサイトカイン、インターフェロンの発現を経時的に検証し、長鎖非コードRNAの腸管恒常性維持機構の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究を通じて、当初炎症を惹起し、重症化させること想定された長鎖非コードRNAが硫酸デキストランナトリウム(Dextran Sodium Sulfate、DSS)誘導性大腸炎においては病態形成において抑制的に作用し、ノックアウトマウスは高い感受性を示し、体重減少とともに早期に死亡することを見出した。さらに、腸管固有層のマクロファージにおいてノックアウトマウスはサイトカインの発現が低下しており、腸管に存在する共生細菌による長鎖非コードRNAの誘導が腸管の恒常性維持に重要である可能性が示唆された。これらを詳細に検討するためにノックアウトマウスの維持管理および実験の実施に必要な試薬類の購入が必要となったため繰越が必要となった。
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Research Products
(4 results)