2015 Fiscal Year Research-status Report
生体成分組成の解析に基づくAAアミロイドーシス発症の分子基盤の解明
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15K08436
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田中 将史 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (40411904)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アミロイドーシス / 血清アミロイドA / 高密度リポタンパク質 / グリコサミノグリカン |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、臓器由来グリコサミノグリカン(GAG)の組成解析に関して、臓器切片より抽出される超微量のGAGから、その組成を高速液体クロマトグラフィーによって解析が可能であるかを調べた。1枚の臓器切片よりGAGを抽出し、酵素により二糖に分解した後、蛍光標識を行った。その結果、抽出方法や用いる酵素などに工夫や注意が必要であるが、超微量のGAGでも解析できる可能性が示された。そこで、アミロイドーシスモデルマウスを作製し、アミロイド沈着した臓器(肝臓)の凍結切片を得た。切片をアミロイド蛍光染色剤であるチオフラビンSで染色し、アミロイド沈着および非沈着部位をレーザーマイクロダイセクションによりそれぞれ回収した。今後、GAG を抽出し、組成解析を行う予定である。 一方、高密度リポタンパク質(HDL)構成脂質の組成解析に関して、正常および炎症マウスより血液を採取した。炎症マウスでは、血清アミロイドA(SAA)の血中濃度上昇をELISAで確認した。超遠心により血液からHDLを分離し、酵素定量法や液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析装置を用いて解析を試みたが、いずれの方法でも上手くいかなかった。その過程で、炎症に伴いHDL中のホスファチジン酸の濃度が上昇するという報告(Atherosclerosis 2014; 237: 652-60.)を発見した。そこで、ホスファチジン酸を含むSAA-HDLモデル粒子を再構成により作製した。その結果、ホスファチジルコリンのみからなるSAA-HDLモデル粒子と比較して、粒子自体のサイズや安定性およびSAAの二次構造や熱安定性などに大きな差異はなかったが、酵素消化に対する安定性の差異が認められ、SAAの局所構造に違いがあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部、当初計画通りに進んでいないところもあるが、解決に向けた方向性が見えつつあるところや新たな展開が見込めるところもあり、全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
臓器由来GAGの組成解析に関しては、引き続き、当初計画通りに研究を推進する。HDL構成脂質の組成解析に関しては、解析が上手くいっていないので中断する。しかし、脂質組成によってSAA-HDLモデル粒子の酵素消化に対する安定性の差異が認められたため、「研究が当初計画どおりに進まない時の対応」に記載した通り、炎症との関連が示唆される脂質(スフィンゴシン-1-リン酸など)を含んだSAA-HDLモデル粒子を数種類作製し、同様に酵素消化に対する安定性を比較することを計画している。
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Research Products
(3 results)