2017 Fiscal Year Annual Research Report
限定的発現遺伝子群espの機能解析による新たな細菌特性の解明
Project/Area Number |
15K08457
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森川 一也 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90361328)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 限定的発現遺伝子 / esp |
Outline of Annual Research Achievements |
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は約3割のヒトの鼻腔や皮膚に常在するが、日和見感染菌でもあり多様な疾患を引き起こす。多様な毒素や薬剤耐性遺伝子を水平伝達で獲得しており、また元来乾燥耐性、食塩耐性などの特徴的なストレス耐性を示す細菌である。本研究は、申請者らが見出した少数の細胞に発現するブドウ球菌遺伝子群(限定的発現遺伝子esp :expression in minor subpopulation)の役割を解明することで限定的発現に基づく新規な細菌特性を明らかにすることを目的とした。 前年度までに、各espの強制発現株(高度発現と中程度発現の2通り)を用いて一連の表現型解析を終え、転写因子であると思われるesp17が株特異的に乾燥耐性に寄与することを示す結果を得ていたが、本年度はさらにesp17は高浸透圧での増殖には必要ないことを明らかにした。すなわちesp17は未だメカニズムが不明な乾燥耐性に特異的に寄与する因子であることが示唆された。またesp2過剰発現が増殖を阻害すること、逆にesp2ノックアウトによって増殖が若干促進されることを明らかにした。esp2の具体的な機能については今後の研究課題である。加えて、esp6がPTSシステムの一部である可能性を見いだし、研究を継続している。しかしながら、その他のespの機能に関しては手がかりが得られていない。各esp遺伝子単独ではなく、オペロンなどの一連の遺伝子群が発現することが必要である可能性があり、オペロンを形成しているespに関してはその全体の強制発現株の構築をすすめた。さらにesp機能を明らかにするための新たな戦略を考案し、必要な共同研究体制を整えて最終年度前年度の研究計画として申請した。
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