2015 Fiscal Year Research-status Report
発展途上国の下痢症アウトブレイク関連大腸菌からの新規下痢因子解明
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15K08477
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
越智 定幸 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (80268705)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 毒素 / エフェクター / 下痢原性大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は、これまで下痢症多発地域のインドネシア、ケニア、ブラジルで細菌性下痢症の疫学、そして、その原因菌の分子疫学的検査を行い、下痢症の発生状況と原因菌の動向を調査してきた。これら疫学調査の途中、2009年12月、ケニアのマンデラ東県ラフェー地区で住民の間で下痢症が発生した。この年は、ケニア全土でコレラが流行していたため、ケニア公衆衛生省は、マンデラにおいてもコレラの発生を疑った。しかしながら、実施された下痢症サーベイランスではコレラ菌を含む主要な下痢原因微生物は検出されず、原因菌は不明であった。1ヶ月の間、同地区で小児、成人を問わず、下痢症が蔓延して2名の死者を含む324名が下痢を発症し、ケニアでも大きな規模の下痢症アウトブレイクとなった。この下痢症アウトブレイクに対し、ケニア公衆衛生省から詳細な調査要請を受けた長崎大学熱帯医学研究所ケニアプロジェクト拠点の研究者と共に原因菌の分離を行い、下痢原因菌の特徴について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下痢症アウトブレイクの発生したケニアは、日本国内の研究室とは地理的に遠距離に存在するが、長崎大学熱帯医学研究所ケニアプロジェクト拠点の共同研究者の協力で疫学的現地調査、特に、試料の採取、そして、試料の保管等、当初困難な点の予想されたことが、大きなトラブルもなく、順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
ケニア、マンデラ地方で発生した下痢症アウトブレイクの下痢原因菌の物学的特徴を明らかにする。原因因子の特定については、preliminaryなデータから耐熱性を有すること、そして、低分子量物質であることなどが推察されているが、単一物質にまでの絞り込みには困難が予想される。そこで、タンパク質側からのアプローチはそのままに、分子生物学的な手法を加え、この領域の専門家の協力を得ながら下痢原因菌の分子生物学的な側面からのアプローチを進める。
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Causes of Carryover |
当初、購入を予定していた機器がフルモデルチェンジのため、次期モデルの発売まで入手が困難な状況にあることが大きな原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入予定機器に関する情報の収集に努め、機器購入が可能になり次第に購入する。
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