2015 Fiscal Year Research-status Report
緑膿菌感染における5型分泌蛋白質EprSの役割の解明とワクチン抗原としての可能性
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15K08483
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
木田 豊 久留米大学, 医学部, 講師 (30309752)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 緑膿菌 / プロテアーゼ / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラム陰性菌5型分泌蛋白質の多くは、病原性因子であるが、緑膿菌の病原性と5型分泌蛋白質との関係は、十分に理解されていない。近年、私達は、緑膿菌5型分泌蛋白質の一つのEprSが、プロテアーゼ活性化受容体依存的に炎症応答を誘導するセリンプロテアーゼであることを示した。しかし、緑膿菌の病原性におけるEprSの役割の解明は不十分であった。最近、私達は、緑膿菌のeprS破壊株が、野生型株と比較して、本菌の病原性に重要な表現型を減弱することを見出し、EprSが緑膿菌の病原性発現に関与すると推測している。そこで、本研究では、EprSが緑膿菌の病原性に果たす役割を解明し、EprSを抗原とした緑膿菌感染症予防ワクチンの可能性について検討することを目的としている。平成27年度は、緑膿菌野生型株とそのeprS破壊株との間で、どのような遺伝子の発現量が変化しているのかを、マイクロアレイにより解析し、次の成果を得た。(1)eprS破壊株では、野生型株と比較して、プロテアーゼや色素産生に関連する遺伝子群を含む199遺伝子の発現が1/2倍以下に低下した。(2)eprS破壊株では、野生型株と比較して、バイオフィルム形成に寄与する遺伝子群を含む167遺伝子の発現が2倍以上に上昇した。また、マイクロアレイ解析の結果を確認するために、プロテアーゼ遺伝子群の発現をリアルタイムPCRにより解析したところ、マイクロアレイ解析の結果と同様に、これらの遺伝子群の発現低下が認められた。従って、これらの結果から、EprSは、緑膿菌の病原性に関与する様々な表現型に多面的な効果を発揮すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の研究計画調書に記載していた平成27年度の研究計画を当初の予定通りに遂行し、予想される結果が得られたことから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究計画がおおむね順調に進展していたことから、平成28年度の研究は当初の計画通りに推進する。一方で、平成27年度に行った緑膿菌野生型株とそのeprS破壊株における網羅的な遺伝子発現レベルの解析データの精度を高めるために、再びマイクロアレイ解析やRNA-seqを行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成27年度の研究計画がおおむね順調に進展していたことから、実験に必要な消耗品類の購入を抑えることができたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の研究費は、当初の計画である以下の(1)-(4)の遂行に使用することに加えて、緑膿菌野生型株とそのeprS破壊株における網羅的な遺伝子発現レベルの再解析を行うために使用する予定である。(1)緑膿菌eprS破壊株の細胞毒性の解析、(2)緑膿菌eprS破壊株の細胞透過能の解析、(3)緑膿菌eprS破壊株の細胞付着能、細胞内侵入能、細胞内増殖能の解析、(4)緑膿菌eprS破壊株のバイオフィルム形成能の解析。
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Research Products
(2 results)