2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on a mechanism underlying a transplacental transmission of rubella virus
Project/Area Number |
15K08508
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
森 嘉生 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 室長 (40379095)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 風疹ウイルス / ウイルス受容体 / スフィンゴミエリン / コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
風疹ウイルスは飛沫感染により伝播し、呼吸器上皮や局所リンパ節で増殖したのち、血流を介して全身感染を引き起こすとされる。妊娠女性の感染の場合には、このウイルス血症の際にウイルスが胎盤に感染し、胎児に感染がおよび、先天性風疹症候群を引き起こすとされる。風疹ウイルスの感染レセプターは、これまでに神経系の細胞のみに発現するMOGが同定されているのみで、風疹ウイルスの体内伝播を説明できるものではない。本研究では、風疹ウイルスの侵入メカニズムを明らかにし、体内伝播、特に胎盤の細胞への侵入を説明できるような宿主因子の同定を試みた。 風疹ウイルスの感染性について基礎的な情報を得るために様々なヒト由来培養細胞を用い、感受性を検討したところ、胎盤由来培養細胞で高率に感染が成立することが明らかになった。一方で、その他の細胞の多くは風疹ウイルスの感染効率が非常に低いことが明らかになった。風疹ウイルスエンベロープタンパク質を被ったVSVシュードタイプウイルスを作製し、上記培養細胞の侵入段階の許容性を検討したところ、接着系の細胞のほとんどは侵入を許容することが判明したことから、感染レセプターは多くの細胞で発現していることが示唆された。 風疹ウイルスの細胞表面への吸着因子として細胞のスフィンゴミエリン(SM)とコレステロール(Chol)を同定した。風疹ウイルスのE1タンパク質に存在する融合ループがCaイオン依存的にSM/Cholに富む膜に吸着し、さらに膜融合を誘導することが示唆された。さらに本吸着とは別にタンパク質性の宿主因子への吸着も存在することが示唆された。SM/Cholへの吸着はウイルスの侵入が成立しない細胞でも認められるが、タンパク質性因子への吸着はウイルス侵入が成立する細胞に認められ、成立しない細胞では認められないことから、この宿主因子が風疹ウイルスへの感受性に関与することが示唆された。
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