2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K08523
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
八木 良二 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (20392152)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Th9細胞 / IL-9 / ヘルパーT細胞 / Th2細胞 / 炎症 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
<in vivo Th9細胞を検出する評価系(ova惹起の気道炎症モデル)の構築> オバアルブミン(ova)特異的なTCRを持つOTII TgマウスからナイーブCD4 T細胞を単離し、レシピエントマウスであるCD45.1コンジェニックマウスに静脈内投与し、24時間後にovaをLPSと一緒にマウスに経鼻投与した。ovaとLPS投与して2日後と4日後にovaを経鼻投与し、翌日にこれらのマウスから顎下リンパ節、肺、脾臓から移入したCD4T細胞を単離し、抗原提示細胞を加えて3日間ova peptideで刺激した。細胞培養上清に含まれるIL-9量をELISAにより測定したところ、ova+LPSで免疫しなかった個体から単離した移入CD4T細胞と比較して、はるかに高濃度のIL-9が蓄積していた。この結果からin vivoでTh9細胞が分化誘導したことが示唆された。さらに、それらの細胞を細胞内染色したところ、10%から50%のIL-9陽性細胞が検出された。IL-9発現強度は、in vitroでTh9細胞を分化誘導させた場合とほぼ同程度であり、量及び質共にTh9細胞が分化誘導していることが明らかとなった。したがって、in vivo でTh9細胞を分化誘導させ、Th9細胞からのIL-9産生量、及びTh9細胞の分化した細胞数の割合を検出する評価系を構築することができた。 本来の目的であるTh9細胞の分化における転写因子GFI1の役割を解明するため、OTII TgマウスをGFI1ノックアウトマウスと交配させ、OTII Tg GFI1ノックアウトマウスを作製した。GFI1ノックアウトマウスとその同腹の野生型マウスを比較したところ、明らかな有意差をもって、GFI1ノックアウトマウスでTh9細胞数の割合、及び細胞培養上清IL-9の蓄積量が増加していた。レポーターマウスなどを用いないと目的を達成しできないと想定していたが、現在我々が保持しているツールで目的を達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的として挙げてきたin vivo でTh9細胞を分化誘導し、Th9細胞数やIL-9産生量を評価できる実験系を構築することができた。これまで他の研究者から報告されてきた実験系では再現できず、他の研究者も同様な意見を持っており、高いハードルかと思われたが、研究費のサポートと根気よく実験を進めることで、極めて再現性の高い評価系を構築することができた。さらに上記の実験から、Th9細胞のサイトカイン産生がどの組織で起きているのかヒントとなる大変興味深いデータを得ることができた。炎症が起きたときに生体内のどの組織や領域でT細胞がサイトカインを産生しているか明らかにできれば、免疫学を理解する上で、一歩前進することができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、論文をすでに書き始めており、最終段階にある。いくつか必要と思われるデータの収集と、これまでのデータの再現性の確認をメインに行なっていく。リバイス実験にすぐに対応できるように、これまで使用したマウスも維持していく。
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